キズナの取捨―春の盾は復活の舞台か否か 3走目の出来、距離不安を探る

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大阪杯まさかの敗戦で増した不安

キズナは天皇賞・春で完全復活できるのか――(写真は2013年ダービー) 【写真:中原義史】

 春の最強馬を決める大一番、第151回GI天皇賞・春が5月3日(日)、伝統の京都競馬場3200メートル芝を舞台に争われる。

 注目を集めているのは、何と言っても武豊騎乗のダービー馬・キズナ(牡5=栗東・佐々木晶厩舎、父ディープインパクト)だ。今年2月、左前脚の第3手根骨骨折から9カ月半ぶりに復帰し、GII京都記念で3着。重度の骨折明け初戦であること、プラス22キロの馬体重であったことなどを考慮すれば、最後に脚が鈍ったとはいえ上がり最速の33秒3を繰り出したレース内容はまずまずだった。

 だが、次こそは……と期待が膨らんだ前走のGII大阪杯、キズナは再びゴール前で脚が鈍り2着敗戦。勝ったラキシスが前年のGIエリザベス女王杯勝ち馬とはいえ、牝馬に2馬身もの差をつけられて敗れてしまったのである。これは本番である天皇賞・春へ向け、期待感よりも不安感が増す敗戦だったのではないか。

素軽い動き、間違いなく上積みはある

2月の京都記念(写真)、4月の大阪杯を使ったことで出来は確実に上昇している 【スポーツナビ】

 秋の大目標である凱旋門賞に堂々出走するためにも、天皇賞・春はもう負けられない勝負の一戦。果たしてキズナは、完全復活の勝利を挙げられることはできるのだろうか?

「1週前追い切りの動きは素軽くなっていましたし、前走時と比べても馬体のハリ、毛ヅヤが良くなっています。肉体面の具合もいいですし、間違いなく上積みはあるでしょうね」

 そう話してくれたのは、栗東トレーニングセンターで日夜精力的に取材をしている日刊ゲンダイの勝羽太郎記者だ。22日(水)に坂路で1本乗った後、武豊騎手を背にCWコースで追い切られ6F81秒7−1F12秒2。馬なりでこの好時計をマークした。

「骨折がそもそも重い症状のものだったので、本当に良くなるのには思った以上に時間がかかったのかもしれないですね」と勝羽記者が指摘するように、今回は“走りごろ”と言われる叩き3走目。右肩上がりで大阪杯よりも状態がアップしているのは間違いないようだ。

 また勝羽記者は、阪神競馬場で行われた大阪杯でのキズナの敗戦に絡めて、こんなデータも示してくれた。

■9−14−10−77/110頭――2015年

■18−14−9−61/102頭――2014年

 これは何の数字かと言うと、春の阪神競馬2開催におけるディープインパクト産駒の芝成績だ。左から、1着−2着−3着−4着以下/出走合計数、の数字なのだが、昨年と比べて今年は合計の出走頭数が8頭も多かったのにも関わらず、1着回数は半分に激減してしまった。つまり、今年春の阪神競馬場の芝はディープインパクト産駒にはまったく合わなかった、ということだ。

「今年春の阪神は、例年に比べて芝が重い状態でした。外差しがほとんど決まりませんでしたし、瞬発力や切れ味を武器とするディープ産駒にとっては受難の馬場でしたね。加えて大阪杯のときは雨の不良馬場。余計にキズナの切れ味がそがれたんだと思います」

 一方、天皇賞・春は京都競馬場で開催される。阪神と比べて芝が軽い上に、開催2週目。中間によほどの大雨が降らない限りは、瞬発力と切れ味を最大限に生かせる絶好のコンディションでレースができそうだ。また、3コーナー下りを利用してスピードを乗せることもできるだけに、「京都外回りはキズナに合っています」と勝羽記者も太鼓判を押している。

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