田中将大に垣間見えたエースの可能性 今季初勝利、課題残るも一歩前進
先発投手の最低限の役目は果たす
5回4失点も味方の大量援護に助けられ、今季初勝利をマーク。イニングを稼げなかった点は課題だが、最低限の役目は果たした 【Getty Images】
現地4月12日(日本時間13日)にヤンキー・スタジアムで行われたレッドソックス戦で、ヤンキースの田中将大は今季初勝利を挙げた。ESPNで日曜夜に全米生中継された注目のゲームで、5回を投げて1本塁打を含む4安打、4失点(自責点3)、4三振、3四球、2暴投。全体にバラつきは見られたものの、“チームを少しでも勝利に近づけてマウンドを降りる”という先発投手の最低限の役目は果たした。
「(速球の)制球が前回より良かった。低めに決まり、ミスは犯さなかった。状況によって高めにも投げていた。スプリッター、スライダーは開幕戦ほどシャープじゃなかったかもしれないが、良い仕事はしてくれた」
ジョー・ジラルディ監督がそう振り返った通り、初回で7得点と絶好のスタートを切った後、3回までを無失点に封じて試合の流れを決定づけた。
4回表には3失点を許し、なおも1死ニ、三塁のピンチを迎えたが、ここで9、1番打者を連続三振。「なんとしても三振が欲しかった」という本人の狙い通りの結果を出した姿は、勝負どころで強かった去年の田中を彷彿(ほうふつ)とさせた。
開幕戦で痛打されて敗れた後、2戦目は強力打線の呼び声高いライバルチームに決定打を許さなかったことは評価していい。ヤンキースはこの日まで1勝4敗と苦しいスタートを切っていただけに、14対4で大勝する一因になったことには大きな意味があった。
5イニング降板では物足りない
「7対0なのにまるで1対0であるかのように投球している」
この4回にはYESネットワークのジャック・カリー記者がそうツイートしていたが、言い得て妙だった。先頭のデービド・オルティスをノーボール2ストライクと追い込むも、その後に四球。続く4番のハンリー・ラミレスもカウント1−2としながら、そこから2暴投とセンターへの犠飛を許してしまう。
同じ傾向は5回表も続く。2死からラミレスを再び0−2と追い込みながら、ボールを3つ続けてフルカウントにし、6球目のスライダーを中越え本塁打にされた。この慎重な投球がゆえに3回まで45球だった球数が4回で83球、5回終了時で97球に跳ね上がり、早期降板の原因になってしまった。
「スプリットが相手が振りたくなるような動きをしていなかった。すべて見送られていて、カウントが深くなってしまった。もう少し早めに仕留められれば理想でしたけど」
試合後、聡明な田中本人も球数がかさんだことを反省していた。メジャーにおける先発投手の役目は、前述通り、まずは勝利の可能性を残した形で後ろの投手につなぐこと。そして、少しでも多くのイニングを稼ぐこと。
“エース”と呼ばれるレベルのピッチャーにとって、シーズンを通じて2つ目の条件もハイレベルで問われることになる。そういった意味で、勝ち星は挙げたものの、今季2戦目での登板も物足りなさは残った。