「トップ5・錦織」全豪OPの軌跡=対戦相手の言葉が記す現在地
ボルテージを上げた錦織フィーバー
トップ5として挑んだ錦織の全豪OPは準々決勝でワウリンカに破れ幕を閉じた 【写真:ロイター/アフロ】
「ニシコリのプレーはスコアほど悪くはなかった。ただ、ニシコリの甘いショットをワウリンカは見逃さず、ニシコリのいいショットにはそれ以上のショットで返した」
という具合に。
日本のみならず、世界のメディアから注目される存在となった錦織 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
それでも、寒い日本を飛び出した錦織フィーバーは南半球の夏と溶け合い、陽気なオージーたちも巻き込んでボルテージを上げていった。
そんな中での錦織の戦いの軌跡を、対戦した選手の言葉を通してたどってみたい。
対戦相手の「飛ばし方」
1回戦の相手・元世界9位のアルマグロは「数年前よりもサーブは速くなった」と錦織の成長を認めた 【写真:ロイター/アフロ】
「長い間休んでいて、復帰したばかりにしてはいい試合ができたよ。体調はパーフェクトさ(笑)。(錦織はサーブが弱点と言われていたが)サーブが悪くてはここまでこれない。数年前よりもサーブは速くなったと思う」
昨年の全仏オープンの1回戦を途中棄権する原因となった足のケガで、その後手術を経て8カ月近くツアーを離れていたアルマグロは、前の週にツアー復帰したばかりで、そこでも1回戦で敗れていた。
3回戦の相手・ジョンソンにも成長した錦織のサーブが効果的に決まった 【写真:ロイター/アフロ】
錦織が「1回戦としてはタフさランキングでトップ」という表現をしたのは、「8カ月プレーしていなかったが元世界9位の実力者だから」ではなくむしろ、「元世界9位の実力者が8カ月もプレーしていなかったから」だったのかもしれない。ラリーで押されがちな前半を切り抜け、第2セットのタイブレークからは流れをつかんだ。
「当たって砕けろ」精神は、2回戦のイバン・ドディグ(クロアチア/86位)、3回戦のスティーブ・ジョンソン(米国/38位)にも言えただろう。そういう「飛ばし方」だった。