東京マラソンナビ第1回 残り3週間でやるべきトレーニング

青山剛

調整順調なランナーは2週間前に20キロ走を

【Getty Images】

 まずは、順調だった方のトレーニングです。大会まで3週間となる今週(2月2日週)は「リコンディショニング週」とします。“リコンディショニング”とは「体調を整える」という意味。まずはここまでの疲労を取りながら、週末に向けて「走れる良い状態」に体調を整えていきます。

 週末(大会2週間前)には20キロ前後のペース走(大会予定ペース)を行い、ペース感覚、体の状況を確かめてみましょう。そこから残り2週間は走る量・頻度を、ここまでのトレーニングの「60%」程度に抑え、週末(大会1週間前)には15キロ前後を気持ちよく走って(=快調走)ラスト1週間を迎えます。

 ラスト1週間は、週の中頃(水曜か木曜)くらいに10キロを走り、後半軽く上げて呼吸を少し刺激しておいて(=ビルドアップ走)、土曜日に30分前後軽くジョギングで汗をかいておきます。

 これらの「ポイント練習(大事な練習)」の合間には、軽い30〜60分のジョギングをして整えていきましょう。もちろんこのメニューが絶対ではありませんので、ひとつのトレーニングの柱として取り入れてみてください。

トレーニング不足なランナーは「通勤ウォーク&階段」を

【青山剛】

 次に、ここまで順調でなかった方のトレーニング。まずは前提として、レース結果に「あわよくば的な高望み」は持たないということが大事です。

 トレーニングも、ここで慌てて長い距離を走り出すのは大変危険。そこでおすすめなのは「通勤ウォーキング&階段」です。平日は仕事で忙しいと思いますので、大会まで3週間はとにかく通勤などで歩き、日ごろから階段の上り下りを徹底してください。またすき間時間でストレッチをコツコツいれましょう。
 2週間前、1週間前の週末には、とてもゆっくりなペースのジョギング(=LSD)を行いましょう。90分(長くて2時間まで)くらい走ることができたら、「ゆっくり走り&早歩き戦法」で完走が見えてきますので、焦らず準備します。

けがを抱えるランナーは「体幹スイッチ・エクササイズ」

【Getty Images】

 そして、すでに体のどこかに痛みや不安を抱えている方。可能であればスポーツトレーナーに診てもらい、まずは適切な治療、処置をしてもらいます。また、その箇所にテーピングを巻くことでサポートされますので、巻き方をしっかり覚え、大会当日も忘れずに巻いて走りましょう。

 トレーニング自体は、けがや不安な場所、内容にもよりますが、まずはストレッチの徹底。またこれまでの連載でも何度も紹介してきましたが「体幹スイッチ・エクササイズ」を毎日行って、少しでも足や不安箇所の負担が減るように(体幹主導な走りができるように)準備しましょう。
 走るのに不安がある場合は、トレーニングが順調でなかった方同様に、ウォーキングをしっかり行って「走るための最低筋力」の維持を心掛けましょう。

 トレーニング後は、その箇所にアイシング(氷で20分ほど冷やす)を行い、すぐに氷が準備できない外出時は、スプレー式鎮痛消炎剤を代用するとベストでしょう。

 それぞれのランナーに合わせたパターン別のトレーニングメニューを紹介しましたが、「あと3週間しかない」ではなく「まだ3週間もある!」と考え、できる範囲でベストコンディションを目指して下さい。

参考資料:「青山剛のスイッチ・ランニング(高橋書店)」(1月5日発売)
初心者〜初級者が正しい手順でランニングを上達していけるメソッドが満載です!

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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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