九州産馬のビッグレース!リピート馬狙いの霧島賞はJRAと高知馬が狙える!?/佐賀・霧島賞データ分析
2023年優勝イチザウイナー 【撮影:佐賀県競馬組合】
ここでは2014年~23年の過去10回のデータを元に分析を行う。
JRA優勢の中での「兵庫2勝」には特殊な理由が
ここには霧島賞ならではの特性が隠れており、当レースのJRA馬の出走資格は2勝馬。キヨマサは16年霧島賞を勝ったことでJRAでは3勝クラスの身となり、翌年からは出走は不可能だった。ところが、兵庫に移籍したことで、「地方馬はオープンクラスの馬」という出走資格に該当。JRA所属時代を含めて5年連続で出走し、3勝、2着1回と長く活躍を見せた。
そのため、下表の「兵庫2勝」のデータはよく考えて扱わねばならない。ただ、キヨマサのようにJRA所属時代に霧島賞を勝ち、その後に地方競馬に移籍して再び出走する馬は珍しくなく、注目すべき存在となっている。
所属別成績 【表1】
4歳馬の好成績と、7歳リピート馬
馬齢別成績 【表2】
牡馬が優勢な一戦
性別別成績 【表3】
堅実な配当に収まりやすい
3連単の平均配当は5万9470円と波乱の一戦のように見えるが、23年の54万5570円(2番人気→10番人気→11番人気)が大きく押し上げているだけで、3連単万馬券は他に20年2万7970円の1回のみ。1番人気が4着以下に敗れた14年でも2番人気→3番人気→4番人気の上位決着で3連単2470円と堅い決着だった。
単勝人気別成績 【表4】
小回りながら逃げ馬不利な意外なデータ
当日は良馬場が予想されるため、過去10回のうち良馬場で行われた5回について見てみると、さらに差し馬有利の傾向が強くなった。良馬場では逃げ馬は未勝利で、過去に2回、1番人気の馬が逃げたが、ともに2着だった。
脚質別成績 【表5】
良馬場での脚質別成績 【表5-1】
九州産馬の生産者は?
生産者別成績 【表6】
リピート馬は要注目
該当馬は9頭(うちキヨマサは5回出走)で、キヨマサが5回目の出走となった20年に8着に敗れた以外はみな3着以内を確保。連続した年でなくても好走しており、17年2着だったテイエムチューハイは21年に勝利を挙げた。
実績別成績 【表7】
データからの推奨馬は?
②4歳馬
③牡馬
④差し馬
⑤テイエム牧場、ストームファームコーポレーションの生産馬
⑥霧島賞3着以内の実績(現在、地方所属でも可)
最も重視したいのは⑥。今年の該当馬は2頭だ。
昨年覇者のイチザウイナーはJRAから佐賀競馬に移籍しての出走。22年3着、23年1着と当レースでは常に上位争いを繰り広げており、実績は抜けている。③⑥に当てはまる。
ルピナステソーロは22年の当レース2着。今年に入りJRAから高知競馬に移籍し、高知の牝馬限定の準重賞・スピカ特別を勝つなど活躍を続けている。普段から砂が深くてタフな条件で走っている高知所属馬が佐賀に遠征や移籍してきた時の好走例は多く、地方馬ながら買い要素が強い馬。⑤⑥に該当する。
テイエムチュラランは昨年のひまわり賞(JRA小倉、2歳オープン九州産限定)の勝ち馬。ここに向けて休み明けをひと叩きされた。①⑤に該当。
同世代でデビュー前から期待を寄せられていたのはアイタカ。こちらもここに向けてひと叩きされており、その前走が1秒9差をつける圧勝。ひまわり賞こそテイエムチュラランの2着に敗れたが、霧島賞トライアルの前走で佐賀コースも経験済みだ。こちらも①⑤に当てはまる。
4歳牡馬からはオバケノキンタ。昨年のJRA交流・たんぽぽ賞(佐賀、3歳九州産)を勝っている。
第28回霧島賞 【出馬表】
文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日や週末は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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