バウマン事務総長「6月までに終えたい」=FIBA、JBA共同記者会見

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FIBAのバウマン事務総長が来日し、会見に臨んだ 【スポーツナビ】

 日本バスケットボール協会(JBA)と国際バスケットボール連盟(FIBA)は18日、都内で共同会見を開き、FIBAのパトリック・バウマン事務総長が現状を語った。

 先月FIBAから示された制裁は、FIBA加盟国協会としての資格停止処分。これに伴い、男女とも全年代の日本代表チームが国際試合を行えないなど、FIBAおよびFIBAアジアの行事へ一切参加できない事態となった。また、FIBAが派遣するタスクフォースのチーム(特別班)からJBAが改革の指導を受けることも併せて発表されていた。

 バウマン事務総長は、「長期的なビジョン、目標を作っていくことがタスクフォースの目標」と語り、「6月までにすべての仕事を終えることを目指す」と意気込みを語った。タスクフォースチームのメンバー発表は1月の後半、最初の会議は1月末をめどに準備を進めているという。

 以下は会見の要旨。

制裁を行ったことはとても残念

登壇者:
パトリック・バウマン(国際バスケットボール連盟 事務総長)
梅野哲雄(日本バスケットボール協会 副会長)

バウマン 皆さんはここ数日間に起こったこと、どうして起こったのかに興味を持って集っているのだと思う。2006年に日本で世界選手権があったときも、これほどたくさんは集まらなかった記憶がある。バスケに興味を持ってくれていることを感じ、とてもうれしく思う。

 FIBAがJBAに対して制裁を行ったのは、とても残念なことだ。決して喜んでやっているわけではない。JBAとは長い間、良い関係を構築してきた。その中で、制裁を行わなければならないことを悲しく思う。ただ、06年当時にわれわれが期待していたように、この国でバスケが大きく成長していくことはなかった。それどころか06年以降、JBAとしては状況が芳しくない。リーグが2つに分かれて各々の道を進むという残念なことになっている。それだけではなく、協会のリーダーも次々に変わってしまい、分割した状況が続き、将来を見通すビジョンのないまま今の状態に至ってしまった。

 そして20年には東京で五輪が開催される。それは非常に大きなことだ。東京五輪、またその先に向けてバスケの強い基礎を作るためには、非常に素晴らしい機会が来たと考えている。そういった背景があり、JBAにこの内部的な問題を解決するようにプレッシャーを与えてきた。

 当初、1回でこの問題を解消することが私の考えだった。そのタスクをクリアするよう、FIBAとしては締め切りの期日を示した。最初は春の終わりくらい、延期して10月末というのが締切の期日だった。それに対して協会が努力したことはもちろん認めている。ただ、残念ながらJBAは10月末という期日までに、われわれがお願いしたタスクを実現できなかった。その結果、ゼロに戻し、リセットした状態で組織の再構築をお願いするに至ったわけだ。

 この決断は痛みを伴うものであったが、制裁を与えるためではなく、希望を作る機会として決断した。次世代の選手、20年の五輪、さらにその将来に向けて必要な基盤となるものを構築することが必要だ。梅野副会長、そして後ろにいるJBAチームの方には、私たちのメッセージを受け取ってもらい、理解してくれた。その理解について、私は感謝している。

 日本のバスケファミリーだけではこの困難を解決できなかったことを受け、われわれはタスクフォースチームを形成し、お手伝いすることにした。この3日間、バスケに関わる多くの方々とお話しすることができた。JOC(日本オリンピック委員会)や体協(日本体育協会)も含めてだ。

 どういうところに問題があるのか、どのような形で解決できるのか。お話しした方には、問題解決のお手伝いをしていただけないかと話した。結果として、お話した皆さんはこの問題について懸念しており、何らかの形で手伝いたいという気持ちを表明してくれた。今日は皆さん(メディア)の番だ。可能な限り、皆さんの声に応えていきたいと思う。

難しい作業だが、不可能ではない

――タスクフォースについて、立ち上げのめどとメンバー構成、その役割は?

バウマン メンバー構成については決めていない。少人数を考えていて、多くとも10人以下だ。たくさんの人と話をしているし、関心がある方も多いと認識している。たださまざまな話をした後、最終的に適切と思える人を選ぶ。メンバーの発表は1月の後半、最初の会議は1月末をめどにしている。役割だが、バスケの長期的なビジョン、目標を作っていくことがタスクフォースの目標になる。目標、ビジョンを実行するために必要な組織を作るということだ。それにはさまざまな専門分野が必要だと思う。JBAの抱えている構造的な問題もそうかもしれないし、リーグとしてどのような形で運営していくのか、トップリーグについてはどうなるのかを作り上げていきたい。

――処分が解除されなければ、JBAは来年のリオ五輪予選に出場できない。事情を考慮した救済措置は何か考えられるのか?

バウマン まさに今、この状態ではリオ五輪の予選には参加できない。予選は来年の夏に始まる。ということは期間的には短い。6カ月でそのタスクを達成して剥奪を逃れる、状況を改善して、その承認までこぎ着けなければならない。難しい作業だが、不可能ではない。ただ、タスクフォースに関してはかなり厳しく、強靭なプロセスとスピードを持って作業を進めていく必要がある。とにかく私たちが目的としているのは、安定した、長期的に将来を見据えた組織を作り上げること。それをやっていく。締切に間に合わないということがないように進めていかなければならない。

 選手はプレーがしたいだろうし、リオ五輪の出場資格を得たいはずだ。女子代表は出場の可能性も高いと聞いている。これを実現するためにはクラブのリーダー、リーグ、さまざまな県の代表者の手に掛かっている。タスクフォースとしては全力を持って、6月までにすべての仕事を終えることを目指す。日本のバスケファミリーにとっては、これを100%サポートすることが重要だ。

――半年でタスクを完了することについて。具体的にどこまで達成すれば完了なのか?

バウマン どのように男子のトップリーグが組織されるのか。このことについて明確なステップを創りあげてもらいたい。JBAがそれを指示するような組織になっていなければならない。コミュニティとしても、バスケが日本のスポーツの中で最も早く成長するスポーツであるようサポートしてほしい。口で言うだけでもたくさんのやるべきことがある。

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