バウマン事務総長「6月までに終えたい」=FIBA、JBA共同記者会見

スポーツナビ

解決しなければならない時期がやってきた

会見後、笑顔で握手したバウマン事務総長(右)と梅野副会長 【スポーツナビ】

――選手に対しては罰を与えるべきでないということを考えると、女子代表は免除するということはないのか?

バウマン 私たちは選手のことを考えなければならない、日本にとどまらず、より多くの選手が多くの試合に出られる環境を作っていかなければならないと思っている。FIBAとしては、選手に罰を与えるという考えは持っていない。選手のことを考えていない、日本の組織に目を覚ましてほしいという気持ちを持っている。

 大変残念なことに日本の組織がそうなっていない。コーチに対する適切なトレーニングや、選手のキャリアプランのサポートといった役割を協会が発揮していないので、選手自身も混乱している。そういう現状を踏まえて、目を覚ましてほしいと思っている。

 FIBAとしては何年もの間、忍耐力を持って状況を見守っていた。それでも、形としての進歩が見られなかった。日本は五輪に出場していない期間があまりに長い。ぜひ20年の五輪に、日本には良いチームで参加してもらいたい。そのためにはきちんとした組織がなければならないと思う。

――リーグの分裂している状態を解決するために話し合っても決まらなかった。タスクフォースができることでそれがすぐに可能になるとは思えないが?

バウマン 皆さんが非常に懐疑心を持っていることが理解できない。それと同時に、問題の解決策を長い間見いだされていないことで、楽観的な気持ちが薄れているのかもしれないと思う。私は楽観主義者だ。ここ数日どころか、過去何カ月かお話をした方々の中で、自分は関わりたくないと言った人はいない。今は何とかして解決しなければならない時期がやってきたのだと思う。もう一つ私が楽観的になっているのは、20年に決まっている五輪の存在だ。これほどの一大行事、大切な機会を目の前にして、この機会を捨ててしまおうなどとは考えていないと思う。

日本にはリーダーシップが欠如している

――日本の組織が適正に回っていない。タスクフォース、今後の改革に丸尾(充会長代行)さんはどう関わるのか?

バウマン 私は別に個人的な非難をするつもりはない。どの形が良い、悪いということではない。私が言いたいのは組織そのもののこと。どんなに頭の切れる人がトップに来ても、組織そのものが動かない、うまく回らない状態なら機能しない。ただ、JBAにもいい部分がある。底辺が非常に広い。私たちが変革を起こすためにはJBAのサポートが必須だと思っている。JBAの方々も「これからのプロセスに移行しましょう」ということに関しては同意している。FIBAとしてうれしくないニュースを伝えたために、コミュニケーションの上で時間がかかることはあったが、電源が切れてしまった今、プロセスをしっかり踏んで変化を受け入れようということになった。もちろん今までとは決断の仕方が違ってくるかもしれない。ただ彼らはここにいるし、彼らと変革を起こせればいいと思う。

――NBLとbjリーグの統合に関して。ヒアリングをしたと思うが、8年間統合に向けて動いて実現しなかった。最大の理由は? 日本国内ではプロフェッショナルになるべきという議論が起きている。バウマンさんはすべてプロ化するべきだとお考えか?

バウマン 8年間努力はしたけれど、お互いにそれほどコミュニケーションは取っていなかったのではないか。私が考えた結果、そういう結論が出る。JBAとしてのさまざまなアイデアがあったとしても、それだけに止まっていたのだと思う。そのアイデアを持って、コミュニケーションを取る必要があった。最近制裁の問題が浮上して、私たちがプレッシャーをかけたことにより、お互いの対話が突然始まった。ただbj側の態度も、責任感のないものだったかもしれない。片方の問題だけではないと思う。もし個々で見たときに、いい結果、功績があったとしても、バスケ界全体を考えたときに関係そのものが崩れてしまうのならば、その努力も意味のないものとなる。

 プロかノンプロかということで、FIBAの状況を考えると、どの部分が本当に問題か明確に分からなくなってしまうことがある。もし大企業がバスケに興味を持って、バスケのチームに投資したいというなら、拒否するのはバカらしいことだと思う。同じように、ある県がバスケに対して投資したい、興味があるということなら、歓迎する。もちろんチームとしてどうすればもっと多くの方が来るか、多くの方に興味を持ってもらい、収益を得るかというアプローチで、バスケ以外でお金が入ることがあると、バスケそのものの活動が怠惰になってしまうことがあるのかもしれない。

 ただ、日本にはリーダーシップが欠如していると思う。バスケというスポーツを捉えたとき、楽しいから、健康のためにやるからということで終わるスポーツではないと思う。本当の問題は企業チームか、企業でないかということではなく、共通のビジョンを持っていないことが問題で、それがないから日本はこういう状況になっている。中国も韓国もきちんとやっている。bjが終わりで、その先がないと考えるのはおかしいと思う。なので、プロとしてきちんとチームを運営する、レベルを上げて、より多くの観客に楽しんでもらうという意味でのプロフェッショナルであれば、どこからお金が来ているか、誰がサポートしているかは関係ない。最終的には1つのビジョンを持って成長していこうという気持ちがあれば、バスケが他のスポーツから観客を取ってくることもできるし、そのスポーツを成長させることもできると思う。

私たちにどんどんチャレンジしてほしい

――NBL側とbj側で2つのディビジョンに分かれて、最後のチャンピオンシップを行えばいいという話が出た。暫定的な処置になるかと思うが、そういうモデルについてはどう思うか?

バウマン 可能性としては考えられると思う。しかしゴールとして目指すものは、最終的なところまで行かないといけない。実際にはっきりとは覚えていないが、そういう提案は出された。ただ、もし「移行」としてそういう形があるとしたら、最終的な結果に結びつく計画を今の段階でコミットしてほしいと伝えた。われわれは移行時期に興味がない。結局、統合した最終形というものに合意できなかったために、その提案もその時は受け入れられなかった。状況は変わって、今「移行」という形を言っているわけではない。そして私たちが今考えているのが、とにかく最終形、どういう形でも最終のシステム、そこになるべく早く到達するということをやっている。

――制裁の話の件で、問題視しているのはJBA組織の問題だと思うが、対象は選手になっている。選手の強化のためにやっている改革なのに、選手がリオ五輪に出られない矛盾が起きているが?

バウマン 2点ある。まずビジョンがきちんと設定されていないことが問題の根底にある。ホテルにいると富士山が見える。高いし登るのは大変。ある日そこに行きたいなという気持ちになる。残念なことに日本では、大きな目的が感じられない。それぞれの方が関わっている学校、クラブ、投資した先、彼らは自分が関わっている小さい領域でしか考えていない。バスケの“富士山”に向かう姿勢が感じられなくなっている。もしかしたら、そういう姿勢に行きついてしまった問題があるかもしれない。リーダーがどういう形で皆さんを導いているかに問題があるかもしれない。それが構造的な問題になっている。実際に6月の段階でどういう状態になっているかは今の段階で申し上げられないが、最終的には1つの形にしなければいけない、パズルのほとんどが集まって、コンパクトな形のリーグができることを願っている。そこに到達できないのなら、厳しい決断を迫られる。タスクフォースとして作業を手伝い、解決に向かってやっていくしかない。

 最後に一言だけ。私たちにどんどんチャレンジしてほしい。日本という国でバスケに携わっている、プレーしている方にチャレンジしてほしい。6カ月間で満足する方も、そうでない方もいるかもしれない。日本のバスケ界に対していいことをするチャンスが来たと思う。そして皆さんが、バスケ選手がリオ五輪の資格を得ること、17年にいい状態で予選へ臨めるようになるために、皆さん1人ひとりが役割を持っているということを考えてほしい。私たちは両リーグの方からこの問題を解決したいという言葉を聞いている。必要な善後策を実行したいと思っている。皆さんの力を借りて、タスクフォースが何らかの変化を加えることで、競技として、五輪が成功に導かれることを願っている。

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