青木宣親、豊潤の季節はもう間近 破竹の快進撃ロイヤルズで赤丸急上昇中
献身的なプロフェッショナルヒッター
地区シリーズではライトの守備で球際の強さを披露し、優勝決定シリーズでは3戦目まで1安打ずつを放ってチャンスメーカーになった。“小粒でもぴりりと辛い”2番打者には独特の存在感があり、第3戦前には話題の選手が招かれる試合前の全体会見にも登場している。
「緊張はすごいするんですけど、それが良い方向に行っている。プレッシャーを感じながらやってはいるんですけど、良いプレーをするとすごく楽しい。シビレルような状況で良いプレーをすると、もっと乗ってやろうという気になる」
敵地ボルティモアでの第2戦後にはそう語っていた青木にとって、メジャーでの将来を考えても、ここでの実力発揮は最高のタイミングだった。
大事な9月に打率3割7分9厘と打ちまくり、後半戦の得点圏打率は4割1分2厘と勝負強さも誇示。バットに当てるのがうまい献身的なプロフェッショナルヒッターは、必然的に投手戦が多くなるこの時期の戦いに適した選手と言える。
2014年は“ロイヤルズの年”に? 青木も一躍全国区へ
10月21日から始まるワールドシリーズは、ロイヤルズにとって、青木にとって、今季最後にして最高の舞台である。
知力、体力、時の運のすべてを味方につけて、カンザスシティの若武者たちの前進は続く。劇的な勝ち上がりがゆえに、晴れて“アメリカズチーム(全米からの注目、支持を集めるチーム)”にも就任。2014年が“ロイヤルズの年”として記憶されることになったとしても、もう誰も驚くべきではない。
そして、このまま彼らが29年ぶりに世界一の座に就いたなら、1年前にレッドソックスの優勝に大きく貢献した上原浩治と同様に、ノリ・アオキの名前も一躍全国区になるに違いない。渡米3年目、32歳にして、青木にとっての豊潤の季節はもう間近に迫っているのだろう。