絶対王者・内村を擁し団体金を目指す 最強布陣で臨む世界体操が3日に開幕

日本体操協会:遠藤幸一

リオ五輪へとつながる道

個人総合4連覇を達成した内村(右)にとって、今大会は5連覇とともに、団体での金メダルも目標だ 【写真は共同】

 アジア大会(韓国・仁川)で男子体操が活躍した熱が冷めやらぬ今、世界体操競技選手権大会が3日から、中国・南寧で開幕する。日本は男女ともにアジア大会とはメンバーを入れ替えて臨む。

 今大会は、昨年の世界選手権(ベルギー・アントワープ)とは異なり、団体総合が加わる。団体総合(チーム戦)は、予選において6−5−4制(6人のエントリー選手の中から各種目5人が演技し、上位4人の得点合計をチーム得点とする)で行われ、各選手の得点は個人総合決勝と種目別予選の得点にもなる。

 さらに、団体総合予選の順位は、2年後のリオデジャネイロ五輪に向けて団体出場の権利を得ようとしている国にとっては重要となる。なぜなら団体予選順位24位までに入らないと、来年の世界選手権(英国・グラスゴー)団体戦の出場権が得られないからである。

 2010年世界選手権オランダ・ロッテルダム大会において24位の国と25位の国との差は、男子2.140、女子0.943。男子のチーム得点となるのは24演技、女子は16演技なので、単純にそれを割れば、1演技あたり0.100ずつ上乗せできれば逆転できる。いずれにしても予選では決してあきらめることなく、全員が0.100でも上乗せしていく姿勢が結果につながっていくことになるだろう。

 団体総合決勝では、予選上位8カ国が6−3−3制(6人のエントリー選手の中から各種目3人が演技し、そのすべての得点合計をチーム得点とする)で団体総合のメダルを競い合う。最後に日本が世界選手権で団体優勝したのは、1978年フランス・ストラスブール大会にまでさかのぼる。20年の地元開催となる東京五輪を前に、そろそろそのタイトルがほしいところだ。

内村を中心にバランスの取れたチーム

前回大会の種目別ゆかを制した白井(写真)らスペシャリストも擁し、バランスの良い最強布陣で臨む 【写真は共同】

 男子は、絶対王者の内村航平(コナミ)がキャプテンとなり、初めて迎える世界選手権。これまで自身が一度も手にしていない団体での金メダルを得るために、新たな気持ちでチームをけん引している。

 また内村とともに練習を続ける田中佑典(コナミ)の理想を追求する姿勢は、目を見張るものがある。加藤凌平、野々村笙吾(ともに順天堂大)の若いオールラウンダーも着実に成長しており、内村を勇気づけている。さらに、亀山耕平(徳洲会体操クラブ)のあん馬、白井健三(岸根高)のゆかと跳馬は、待望だった内村超えの実力を持つスペシャリストだ。
 全体的には非常にバランスの取れた布陣となった今回のチーム。失敗の許されない緊張した場面でどうなるのか、本当に楽しみである。

 一方、女子は、寺本明日香(中京大)、美濃部ゆう(朝日生命)以外、チームとして世界選手権という大きな舞台で戦った経験がない。この2人を核として、笹田夏実(日本体育大)、井上和佳奈(筑波大)、村上茉愛(池谷幸雄体操倶楽部)、そして平岩優奈(三菱養和体操スクール)の負傷により急きょ召集された石倉あづみ(ZERO体操クラブ)が、どれだけチームとしてのまとまりを見せるか。まずは予選での戦いぶりに注目したい。

第45回世界体操競技選手権大会 スケジュール

10月3日(金):男子予選
10月4日(土):男子予選(日本出場)
10月5日(日):女子予選
10月6日(月):女子予選(日本出場)
10月7日(火):男子団体決勝
10月8日(水):女子団体決勝
10月9日(木):男子個人決勝
10月10日(金):女子個人決勝
10月11日(土):男女種目別前半
10月12日(日):男女種目別後半
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著者プロフィール

1961年東京生まれ。日本体操協会常務理事・総務委員長。体操の金メダリストである父親を持つものの、小学、中学はサッカーに明け暮れていた。高校で体操に転身。国際ルールのイラストレーターとして世界中の体操関係者にその名を知られている。

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