ロッテ・古谷拓哉に訪れた3度の転機、強い覚悟を持ってシーズン終盤戦へ
自分で答えを出せば、責任感が芽生える
「よく言えばそうなんですけど……。ギリギリになって、やっとという感じですよね」。苦笑した古谷は、少し考えてから、こう続けた。
「自分は不器用なんですよ。変にバカ正直というか。100パーセントやらないと、気がすまないところがある。それに、追い込まれると集中するんです。余計なことを考えず、気持ちがそこに集中したのが良かったんでしょうね。今はいろいろ経験を積んできたので、ひとつのことに入り込みすぎると見えなくなるものもあると分かっています。意識を分散させていろいろなことに対応したり、一点に集中したり……。その両方ができるようになりたいですね」
そんな古谷に、この問いをぶつけてみた。「もし今、大学1年夏の自分にアドバイスをするとしたら?」
「そうですね……。『後悔しないように』ですかね。自分一人で決められないこともあるけど、まわりには助けてくれる人がたくさんいる。その人たちの話をよく聞いて、前へ進め、と言いたいですね」
それは、そのまま「やりたいことがあるけど、一歩が踏み出せない人」や「うまくいかなくて、あきらめようとしている人」への指針となりそうだ。
「いろいろな状況もあるし、すぐには決断できないこともある。そこで、いろいろな人の話を聞いて、自分で答えを出すのが大事だと思うんですよ。誰かの意見に流されたら、失敗したりうまくいかなかったりしたときに、誰かのせいにしてしまう。自分で答えを出して行動すれば、間違っても自分で反省できますよね。自分で出した答えだからこそ、責任感が芽生えるんです」
ビジネスマンのような話し方をするプロ野球選手
「まあ、周りからは『変わっているな』と言われますよ」。古谷は、ニヤリと笑った。
ペナントレースは、残り40試合を切った。8月18日の時点で、クライマックスシリーズ進出圏内の3位・北海道日本ハムを5.5ゲーム差で追う千葉ロッテ。その中で、古谷はチームトップタイの7勝を挙げている。
「7勝? うーん、もっと頑張らないと。まだまだ満足できない。残り試合は少ないですが、一つ一つ、しっかりと自分の仕事をしたいですね」
自分の仕事。それは、チームに勝利をもたらすことに他ならない。古谷は「結果を求める」という強い覚悟で、投手陣を引っ張っていく。