ロッテ・古谷拓哉に訪れた3度の転機、強い覚悟を持ってシーズン終盤戦へ

千葉ロッテマリーンズ

7月16日のソフトバンク戦でチーム初の完封勝利を挙げた古谷 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

「今日は人生最後のつもりで投げました」

 千葉ロッテ・古谷拓哉は、7月16日の福岡ソフトバンク戦で今季チーム初となる1人の投手による完封勝利を挙げた後、報道陣に向かって平然と言った。今季の古谷は開幕から先発ローテーションに入り、4月に3勝を挙げた。だが、5月に入ると先発投手の役割を果たせない試合が続き、6月には中継ぎに配置転換されてしまう。
 
 そこでも思うような投球ができず、2軍調整を経験。この日は1軍に復帰したばかりでの先発マウンドだった。確かに、与えられたチャンスはモノにしなければならない。それにしても、「人生最後のつもり」という覚悟は、いささか重すぎはしないか。その疑問をぶつけると、古谷は淡々と答えた。

「試合に出るからには、結果を求められます。プロですから、それが仕事ですしね。『今日ダメだったら、もうダメだ』という気持ちで、1試合1試合全部勝つつもりでやっていて、それが当たり前だと思っています」

プロは内容ではなく結果を求められるもの

 古谷がこうした覚悟を持つようになったのは、ここ2、3年だという。2006年にプロ入りした頃は、ただただ一生懸命やっているだけだった。それではうまくいかず、シーズンオフを自分を見つめ直す時間に充てた。「プロとは、何か」。古谷は、それを考え抜いた。

 世の中には、野球だけでなく、いろいろなプロフェッショナルが存在する。例えば、ビジネスの場合。良い商品を作ったとしても、それが売れなければ、市場のニーズとはズレているということになる。市場が求める商品を作って売るのが、ビジネスにおけるプロの仕事だ。そう考えたとき、「プロとは、良い内容ではなく、結果を求められるものだ」ということがストンとふに落ちた。

「野球でいえば、良いピッチングをするだけではなく、チームが勝つことが求められています。自分は先発ピッチャーですから、自分が投げるからにはチームが勝って、自分に勝ち星がつく。プロとは、そうあるべきだと思うようになりました」

 ただ一生懸命やるだけだと、気がつけば方向性がズレてしまっていることもあった。だが、目指すところが決まると、そこまでの道筋がはっきりと見え、ブレなくなった。

「シーズンは長いのでいろいろな状況がありますが、目指すところが決まったことで、気持ちのブレがなくなりました。地に足が着いた、というか。でも、ただただ一生懸命やっていた時期も無駄とは思いません。それがあったからこそ、今があります。ここまで一直線に来たわけではないですからね」

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