ミルコがグローリーで因縁ミラー返り討ち「大みそかは東京でMMAファイトさ」
K−1GPの再戦となったミルコvsミラー
ミルコはK-1に続きグローリーでもミラーを撃破 【Glory Sports】
ミルコ・クロコップはアメリカでのグローリーデビュー。どういうわけかロサンゼルスで人気のあるミルコである。対戦相手のジャレル・ミラーとは因縁がある。昨年クロアチアで開催されたK−1グランプリ初戦で両者は拳を交えた。ミルコの判定勝ちだったが、その判定が物議を呼んだ。
裁定に全く納得しないミラー。今回、舞台をグローリーのリングに移し両者の再戦が実現した。ミラーにとっては燻り続けた気持ちを払拭するまさにリベンジチャンスである。15歳年下でボクシング出身のミラーのアドバンテージはまさに若さとパンチ。だがベテランのミルコは距離を取り簡単には当てさせない。むしろ焦るミラーのヒザが3度もミルコの下腹部に当たりその都度試合が中断。ミラーに悪い印象を与える。ミルコも辛いが当てたミラーも気持ちが凹む。
左ミドルからトレードマークの左ハイを繰り出すミルコ。復讐を狙ったミラーだったが経験豊富なミルコを崩すにいたらず。負けない試合に徹したベテランを攻略するには相当な力量が求められる。ミラーにはそこまでの力がなかった。敗北を受け入れたミラーはボクシング界に戻るという。
グローリーでのアメリカデビューを果たしたミルコは、「いろいろな場で戦えることは楽しい。ヒジに炎症を起して検査時にアスレチックコミッションに見つからなくてホッとしたよ(笑)。ミラーが試合前にずいぶん僕のことを挑発したけど今回でケリがついたな。勝てて良かった。大みそかは東京でMMAファイトさ」と述べた。キックとMMAの両刀使いのミルコ。2年前に引退試合をしたものの翌月に復帰。そして今のミルコに引退する気持ちは全くないようだ。
ギダはヘビー級初代王者戴冠ならず
【Glory Sports】
ミドル級のトーナメントはアルテム・レヴィンが実力通りの結果を示し、これまで無冠の帝王と称されていたがいよいよ真正の王者としてグローリーに君臨する。かなりな長期政権の予感もするが、最初のタイトル挑戦者にはサイモン・マーカスを迎えてほしい。
ウエルター級タイトルマッチでは王座交代劇が勃発。安定感のあるデ・ボンテを押さえてバルテリーニが主導権を握りダウンの応酬も含め最後までポイントリードを守りながら政権奪取してしまった。
ここに来てカナダ勢がじわりと実力を現しはじめている。ミドル級のサイモン・マーカス、ウエルター級のジョセフ・バルテリーニそしてフェザー級のガブリエル・ヴァルガ。このような逸材が登場する背後にはまだ多くの逸材が潜んでいることは間違いない。無名だったカナダ選手の今後の席捲が楽しみになってきた。
次回は8月9日「グローリー18」シカゴ大会に続く。
「グローリー17」ロサンゼルス大会
決勝でシリングを下したレヴィンが初代ミドル級王者に 【Glory Sports】
【グローリー17】
<ヘビー級 3分3R>
○ミルコ・クロコップ(クロアチア)
(判定3−0※30−27、29−28、29−28)
●ジャレル・ミラー(米)
<ライト級 3分3R>
○アンディ・リスティ(スリナム)
(1R0分37秒 KO※左ジャブから左フック)
●KY・ホレンベック(米国)
秒殺圧勝である。リスティはホレンベックを呑んでかかった。再び頂点を目指す自分がこんな所で遊んでいる時間はないとマシーンからターミネーターに変貌したリスティ。キリア、ロスマレン、ペトロシャンたちと凌ぎを削る階級。層の厚いこの階級はタイトルマッチごとに王者交代が起きる可能性が大だ。
<フェザー級コンテンダー決定4名トーナメント セミファイナル 3分3R>
○シェーン・オブロンスキー(米国)
(判定3−0※三者29−26)
●マーカス・ヴィニシウス(ブラジル)
後頭部パンチでダウンを奪われたヴィニシウス。本来ならオブロンスキーへの注意が妥当だったろう。ヴィニシウスは辛いスタートとなったが気落ちせず逆に中盤から終盤へパンチ中心に攻め込み流れを変えつつあった。しかし攻め疲れもありオブロンスキーの右フックを被弾し痛恨のダウン。判定はオブロンスキー。
<フェザー級コンテンダー決定4名トーナメント セミファイナル 3分3R>
○ガブリエル・ヴァルガ(カナダ)
(判定3−0※三者30−27)
●ヨドクンポン・シットモンチャイ(タイ)
ヴァルガ29歳。ヨドクンポン19歳。攻めの手数でヴァルガが勝利。
<フェザー級コンテンダー決定4名トーナメント ファイナル 3分3R>
○ガブリエル・ヴァルガ(カナダ)
(判定3−0※30−27、30−27、29−28)
●シェーン・オブロンスキー(米)
※ヴァルガが王座認定戦権利獲得
序盤オブロンスキーの仕掛けを防いだヴァルガがスピン系の技を駆使しながら流れを自分のものにしていく。終盤は両者ともに力を出し切り判定はヴァルガに。
【ラストマン・スタンディング】
<世界ヘビー級タイトル認定戦 3分5R>
●ダニエル・ギダ(ルーマニア)
(判定3−0※49−46、49−46、48−47)
○リコ・フェルフーフェン(オランダ)
※フェルフーフェンが初代王者就任
昨年のトーナメント決勝の顔合わせである。ヘビー級ランキングトップ2による初代王座を争う。親友であり練習仲間であった両者だが一転して今回は試合前のコメントでギダが「リコの試合はつまらない」と批判。寡黙でサムライのニックネームをとるギダにしては珍しい言葉だが、言われたリコも「何でそんなことを?」と困惑気味。ギダなりに試合を盛り上げようと努力してのコメントかもしれないが彼にはあまり似つかわしくない。
互いの手の内は痛いほどよく分かっているだけにやり辛い。うかつな攻撃は墓穴となる。ヘビー級らしいKOファイトを期待したファンにとっては今ひとつの展開。ほとんど五分の内容はリコに判定が下り初代ヘビー級王者に就任。そして挑戦者としてエロル・ジマーマンが虎視眈々と控えている。
<世界ウエルター級タイトルマッチ 3分5R>
[王者]●マーク・デ・ボンテ(ベルギー)
(判定3−0※三者47−46)
[挑戦者]○ジョセフ・バルテリーニ(カナダ)
※バルテリーニが新王者就任
前回大会で勢いのある勝利を見せ付けている王者ボンテ。試合は序盤からバルテリーニが押す。ハイキックで王者からダウンを奪いポイントをリードする。王者ボンテも4Rに乾坤一擲のジャンピングニーでダウンを奪い返し5Rに全力で逆転を狙う。ドローによる延長の可能性もありえたが3Rまでのバルテリーニのポイント先行をボンテが逆転するまでには至らず。挑戦者バルテリーニがうれしい判定で新王者へ。ボンテは王者陥落。
<ミドル級ワールド8名トーナメント クオーターファイナル 3分3R>
○アルテム・レヴィン(ロシア)
(判定3−0※三者30−27)
●アレックス・ペレイラ(ブラジル)
グローリーランキング1位のレヴィン。「グローリー14」ザグレブ大会トーナメント覇者のペレイラ。ザグレブ大会では強さを見せたボクシング出身のペレイラ。しかし同じパンチを得意とするキャリア豊富なレヴィン相手では難しかった。
<ミドル級ワールド8名トーナメント クオーターファイナル 3分3R>
○ジョー・シリング(米国)
(延長R2分41秒 KO※右クロスカウンター)
●サイモン・マーカス(カナダ)
「グローリー10」ロサンゼルス大会トーナメント覇者シリング。40戦無敗でミドル級界の実質世界頂点に立つマーカスのグローリーデビュー。3Rを終え、勝ちを確信していたマーカスは延長裁定で気持ちが途切れたようだ。シリングの右クロスカウンターをアゴに浴びマウスピースを吐き飛ばしながらマットに沈んでしまった。
<ミドル級ワールド8名トーナメント クオーターファイナル 3分3R>
○ウェイン・バレット(米国)
(2R0分58秒 KO※左フック)
●ボグダン・ストイカ(ルーマニア)
ゴールデングローブ・アマチュアボクシング王者のバレット。ルーマニア王者のストイカ。跳びヒザを繰り出したストイカにカウンターの左フックを合わせてバレットがKO勝利。
<ミドル級ワールド8名トーナメント クオーターファイナル 3分3R>
○フィリップ・フェルリンデン(ベルギー)
(判定2−0※30−27、30−27、28−28)
●メルヴィン・マヌーフ(オランダ)
元イッツ・ショウタイム同階級世界王者マヌーフのグローリーデビュー。ヘビー級からライトヘビー級そしてミドル級へと階級を落としてきた変り種のフェルリンデン。マヌーフの動きはシャープで良かったが1Rにハイキックでダウンを喫している。体格面での差が如何ともしがたいマッチメイクだった。
<ミドル級ワールド8名トーナメント セミファイナル 3分3R>
○アルテム・レヴィン
(判定3−0※三者30−27)
●フィリップ・フェルリンデン
レヴィンが序盤から自分の流れを作る。フェルリンデンも応酬するがフェルリンデンの攻撃を見切っているレヴィンは最後まで主導権を渡さず決勝へ。
<ミドル級ワールド8名トーナメント セミファイナル 3分3R>
○ジョー・シリング
(判定2−1※29−28、29−28、27−30)
●ウェイン・バレット
ともにKOで上がってきた米国人対決。何度も構えを変えるバレット。変則的攻撃で場内を湧かせるシリング。延長もしくはペースを握ったバレットかと思えた判定はシリングへ。シリングは2試合とも微妙な裁定を得ての勝利。地元出身の地の利か。
<ミドル級ワールド8名トーナメント ファイナル 3分3R>
○アルテム・レヴィン
(判定3−0※三者29−26)
●ジョー・シリング
※レヴィンが優勝し初代ミドル級王座就任
全く無名だったシリングが一躍名を馳せたのがこのレヴィンと決勝を争った前回ロス大会だった。変則ファイターのシリングにレヴィンはとまどったが今回は違う。初回シリングの攻撃に合わせてバックフィストを決めダウンを奪う。続く中盤はボディ攻撃でシリングを追い込む。予選からフルラウンド戦ってきた両者に疲れが見える。ここでレヴィンのクリンチにレフェリーがイエロー。やはりレフェリーに地元選手シリング贔屓の動きが見える。しかしジャッジ判定は三者ともにレヴィンが圧倒。初代ミドル級王者の栄冠はレヴィンの頭上に輝いた。
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