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ようやく世代交代に着手した全日本男子
急成長の深津英臣が新司令塔をつかむか

若返った新生全日本、最年少は18歳の石川祐希

顔ぶれが大きく変わった全日本男子。正セッター候補に挙げられるのが、パナソニックでVプレミアリーグと黒鷲旗の二冠獲得に貢献した深津英臣だ
顔ぶれが大きく変わった全日本男子。正セッター候補に挙げられるのが、パナソニックでVプレミアリーグと黒鷲旗の二冠獲得に貢献した深津英臣だ【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 久しぶりに全日本男子の顔ぶれが大きく変わった。


 2014年度の全日本登録メンバー30人中12人が初選出。過去に選出はされたが試合に出たことのない選手を入れると20人になる。特にミドルブロッカーには身長204センチの山内晶大(愛知学院大3年)など、2メートル級の若手選手が多く選ばれた。本来ならばもっと早く、遅くとも12年のロンドン五輪出場を逃した時点で始まっていなければならなかった世代交代が、ようやく着手された。


 最年少は18歳の石川祐希。星城高校(愛知)のエースとして、チームを2年連続高校三冠(インターハイ、国体、春高バレー)に導き、今春、中央大に進学した注目選手だ。13日に行われた全日本記者会見の後、初めて代表の合宿に参加すると、相手が全日本選手でも関係なく、ブロックを利用して得点を奪うなど、ひょうひょうと普段通りのクレバーなプレーを披露、全日本のスタッフ陣をうならせた。本人に手応えを聞くと、「ちょっとは(あった)。でも、やるのは世界となので」とさらりと言ってのけた。


 23日から開催されるワールドリーグのメンバーには入っていないが、その後はタイミングを見て全日本に合流する予定だ。ただ、全日本ジュニアなどとの兼ね合いもあり、はっきりした見通しは立っていない。同じく全日本に入っている大学生、柳田将洋(慶應義塾大4年)や高橋健太郎(筑波大2年)も、ユニバーシアードやジュニアのカテゴリーとシニアのどちらを優先させるのか、日本バレーボール協会からはまだ明確な方針が出されていないという。年齢的にはユニバーシアードやジュニアのカテゴリーでも、シニアの中でプレーして遜色ない選手は、シニアを優先させるべきではないだろうか。


 今回初選出された若手選手たちは、「ついにチャンスが来た」というより、ほとんどの選手が「全日本はまだまだ先のことだと思っていたので、まさか」と驚きを口にした。日本は08年の北京五輪で最年少だった清水邦広と福澤達哉(共にパナソニック)より下の世代が育っておらず、2人は今年28歳になる。これまで全日本の年齢層が高かったことで、若い選手が全日本での活躍を目の前の目標と捉えにくかったようだ。


「今年は若い選手を多く入れて、実戦をたくさん経験させ、一日も早く世界の舞台で活躍できる選手を育てたい。今しかチャンスはない」と全日本の南部正司監督は危機感を漂わせる。

正セッター候補はパナソニックで急成長

 そんな若手の中にあって、いい意味でふてぶてしく存在感を発揮しているのが、セッターの深津英臣(パナソニック)だ。深津は全日本入りについてこうコメントした。


「全日本入りはバレーボールを始めてからの夢だったのでうれしいが、最近の日本男子バレーは厳しい状況なので、選ばれるだけではなく、そこで結果を残すことが夢になった。五輪も行くことが夢なのではなく、行ってから何をするかが大事。そうじゃないと、行けても1回も勝てないということになってしまう」


 ガラリと顔ぶれが変わったセッター陣5人の中で、23歳の深津は正セッター候補と見られている。昨年のユニバーシアードでは銅メダルに輝き、13−14シーズンのパナソニックでは、1年目ながら清水や福澤、アテネ五輪金メダリストのブラジル人ウイングスパイカー、ダンチ・アマラウというそうそうたる攻撃陣を速いコンビで操り、Vプレミアリーグと黒鷲旗の二冠獲得に貢献した。


 昔からバレーをよく知るバレー脳の優れた選手だったと、深津の母校、星城高校の竹内裕幸監督は振り返る。深津が高校生だった頃、取材に来た記者に竹内監督は、「監督は彼(深津)ですので、彼に聞いてください。全部やらせてますから」と言った。


「英臣が一人で考えてブロックを外したり、戦術を立てていました。彼を見て、高校生ってこんなにいろんなことを考えられるんだなと学びました。昨年いた石川たちに自由にやらせることができたのは、英臣のリーダーシップを見ていたからです」


 2人の兄、旭弘(JT)、貴之(豊田合成)の姿を見ていたから、同級生よりも2歩3歩先を考えられていたのだろう。「今はまだ遠慮して、清水選手や福澤選手に使われていますけど、まもなく使うようになるでしょうね」と竹内監督はほくそ笑む。

米虫紀子

大阪府生まれ。大学卒業後、広告会社にコピーライターとして勤務したのち、フリーのライターに。野球、バレーボールを中心に取材を続ける。『Number』(文藝春秋)、『月刊バレーボール』(日本文化出版)、『プロ野球ai』(日刊スポーツ出版社)、『バボちゃんネット』などに執筆。著書に『ブラジルバレーを最強にした「人」と「システム」』(東邦出版)。

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