ジマーマン、完璧の高地対策で連続KO=グローリー16デンバー大会リポート

遠藤文康

体力がカギとなる高地都市で初戦を秒殺

初戦のエドワーズ戦を1R2分50秒で叩き潰し、勢いに乗ったジマーマン 【Glory Sports】

 舞台をアメリカに移し、中西部の高地都市デンバーでの開催となった「グローリー16」(現地時間5月3日)。バスなど乗り物移動ではさほど感じない空気の薄さも徒歩で行動し出すと途端に息苦しさを感じることで有名な街だ。海抜1600メートルは慣れない人には相当きつい。だから今大会へ参戦する選手たちはそれぞれが高地対策を施して集ったようだ。

 ヘビー級王者への挑戦権をめぐるトーナメント選手のエロール・ジマーマンはマスクを装着して低酸素トレーニングを徹底してきたという。なおかつ早めのデンバー入りで現地トレーニングを行い空気環境に体を慣れさせた。「ボクサータイプが多いのでキックが得意の俺は有利だ」と述べ、「初戦に3ラウンドかけるつもりはない。1ラウンドでケリをつけたい」と続けた。練習で心肺能力を高めたとはいえ空気の薄い土地でトーナメント初戦から9分間を戦えばスタミナ消耗は激しい。「4名トーナメントは2試合だ。だから初戦のベンを全力で倒しに行く」と確信を込めて語った。

 その言葉どおりにジマーマンは初戦でベン・エドワーズを1R2分50秒と秒殺で叩き潰した。エドワーズの左ミドルに素早い右インロー合わせで転がす。苦笑いで立ち上がったエドワーズは圧力をかけジマーマンをロープに追い詰め左右フックを7連打。しかし落ち着いてブロックしたジマーマンがお返しとばかりに同様の左右フックをテンプルに5連発叩き込みダウンを奪った。エドワーズのダメージは深い。さらにジマーマンは右ひざをエドワーズのアゴに入れてからフォローの右フック2連打で完全にマットに沈め試合前のイメージ通りに1ラウンドで試合を終えた。

今大会に臨む調整が完璧で決勝も1RKO

初戦を1Rで終えて体力を温存できたジマーマンは決勝でもアンダーソンから3ダウンを奪って1Rで試合を決めた 【Glory Sports】

 決勝はジマーマンと同じ年のアンダーソン・シウバとの対戦。シウバは初戦でセルゲイ・ハリトーノフとフルラウンドを戦い抜き判定で決勝へ駒を進めたものの、スタミナ消耗度は相当なものだった。試合は開始そうそうにシウバの左パンチに合わせてジマーマンが右ひざを顔面に叩き込みダウンを奪う。ペースを握った時のジマーマンは強烈だ。2年前のイッツ・ショウタイムでグローリーの現ヘビー級トーナメント覇者リコ・フェルフーフェンをフック5連発でクビをひん曲げてKOに葬ったことがある。その時と同じように得意の左右フック連打から左アッパーで再びシウバからダウンを奪った。

 初戦でのスタミナ消耗によりシウバは本来持ち味であるスピードに上手く乗れていない。最後は棒立ち気味のところへジマーマンの右ひざをアゴに受け3度目のダウンを喫してシウバはTKOに散った。右ひざを適切に駆使してパンチの連打を繰り出すジマーマンの動きを見ると今大会に臨むコンディション調整が完璧だったことが分かる。ヘビー級王者というこれまでビッグタイトルに縁の浅かったジマーマンが本年度下半期にリコ・ベホーベン、ダニエル・ギダらとともにファイナルトーナメントに挑む。

次ページにグローリー16デンバー大会の試合結果・戦評

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