早大・藤田慶和が語る現状と未来 「大学はラグビーIQを高めないと」

CSPark

世界に近づくことがチームのプラスに

日本代表としても活躍する早稲田大・藤田が、大学ラグビーと自身の未来を語った 【CSPark】

 東福岡高では「超高校級」と評され、花園3連覇の立役者となり、史上最年少の18歳7カ月で日本代表キャップを獲得したラグビー界のホープ、藤田慶和。現在、早稲田大に所属しながらも、ニュージーランドへの留学や、日本代表でも活躍する藤田は、2015年ワールドカップ、さらには19年に日本で開催されるワールドカップで中心選手として世界で勝負できる選手である。そんな彼に大学ラグビーの現状、将来のビジョンについて聞いた。

――現在、早稲田大に所属をしていますが、大学のキャリアについてどう考えていますか?

 僕の夢はスーパーラグビー(南半球最高峰のリーグ)なので、大学で(1年の)全部をやろうとは考えていないですね。春や夏の期間はジャパンや海外留学に行かせてもらって、そこで成長して秋冬で大学に恩返しができればいいと思っています。そこでしっかり活躍して夢に少しでも近づけることが、チームにもプラスになると思うので。

 春夏といろいろなところで修行して、秋冬と一年間自分がどれだけ成長したのかを試せる場でもあると捉えています。海外でやっていけるようになる一つのステップとして、大学レベルで当たり前のことを当たり前にどういう場面でもやっていけるような選手になりたいと思います。

――その中で大学ラグビーでの目標は?

 優勝が目標ですけど、それまでのプロセスが重要なので、ラグビーIQをもっと高めていくことを大学に浸透させて、大学ラグビーのレベルを一つあげたいなと思っています。大学全体が帝京大を意識して、どのチームもフィジカルを意識的にやっていると思うんですけど、もうちょっと頭の筋トレをしてほしいです。体が大きくなっても、大学はラグビーIQがすごく低いので、そこを高めていかないといけない。
 大学では勝てるかもしれないですけど、(卒業後に)トップリーグに行くと活躍できなかったりしますし、世界と戦っていく上でも(ラグビーIQは)重要になっていくと思います。

――ラグビーIQを高めていくためには、もっとラグビーを見ることが必要でしょうか?

 今、世界のラグビーを見られる環境が整っているので、もっともっとラグビーを見て、いろいろな選手がこういうラグビーをしたいという意見を、コーチや選手と出し合えるようなチームになってくればいいですね。そうなることでチームのレベルも大学のレベルも一つあがってくると思います。

背中を押してくれた早稲田大・後藤監督

柔らかな笑顔で質問に答えた藤田 【CSPark】

――大学ラグビーが果たす役割は?

 世界と日本では大学の期間で差がすごく開いていて、世界の選手はこの歳でプロ契約を結んでいたりする中で、日本は大学に通いながらラグビーをやっているので差がつきます。ただ、大学ラグビーをもっとレベルアップさせていくことで、世界との差が縮まると思っています。そういう意味では、大学ラグビーは大切だと思います。

――チームから離れる期間が長い中、大学でプレーできているのは監督やチームメートの理解があってこそだと思います。後藤禎和監督とはどのような話をされていますか?

 後藤さんは、すごく器の大きい人で、「チームのことは関係なしに夢があるなら、チャレンジしたいなら行ってこい」と言ってくれるので、頼りがいのある監督です。僕のことを信頼してくれているので、結果をしっかり残しつつ、最低限の規律を守りながらもチームの枠にとらわれずに、どんどんダイナミックなプレーをしていきたいと思っています。
 留学に行く時も「チームのことは気にしなくていいし、帰ってきてプラスにしてくれればいいから」と言ってくれて、すごくうれしかったです。

競争に勝つために「飛び抜けたもの」が欲しい

――昨夏のニュージーランド留学では、ITM杯でのメンバーから外れる経験をされました。その時の心境はどうでしたか?

 左膝の靭帯断裂のケガ明けで選ばれなかったのですが、その経験ですごく成長したと思います。小学校から高校まで順調に選抜や代表などに選出してもらっていた中で、初めて選ばれず、下のチームでやるという機会をもらいました。そこで、もっと努力しないと夢は叶わないと感じることができました。

――世界との差は感じますか?

 フィジカル面では上半身も下半身も、もうワンサイズ大きくしないと通用しないですね。もちろん通用する部分もあるので、そこを世界のトップレベルにしていくことが夢の実現への一歩じゃないかと思います。

――ストロングポイントはどこでしょうか?

 相手を抜いてチャンスをつくることや、ボールを前に進められることだと思っているので、どのレベルでも、どんなにきつくても同じようにやれる選手になっていければ、トッププレーヤーになれるんじゃないかと思います。トッププレーヤーになるという気持ちでやらないと、スーパーラグビーは毎年、毎年すごい選手が入ってくるので、その競争に勝てるように飛び抜けたものが欲しいです。

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