レバークーゼンで愛されるソン・フンミン 香川に続く新たなアジア人スーパースター

ドイツ代表選手の穴埋めで移籍

今季からレバークーゼンに加入したソン・フンミン(中央)。香川以降、最も期待を集めるアジア人選手となっている 【写真:ロイター/アフロ】

 アンドレ・シュールレのチェルシー移籍で大金を得たレバークーゼン。彼らは、夏のうちにその資金を投資へと回した。ハンブルガーSVから新星ソン・フンミンを獲得したのである。若き韓国人は、ドイツ代表選手が抜けた穴を十分に埋めてみせた。

 母国での扱いと同様に、ソン・フンミンはドイツでもスーパースターへの道を歩んでいる。アジアのスーパータレントの加入直後、レバークーゼンはLGとのスポンサー契約を締結した。香川真司が旅立って以降、ソン・フンミンこそがブンデスリーガで最も期待を集めるアジア人選手となっている。だが、ピッチ上で表現しきれていない才能が、彼にはある。

 ソン・フンミンはよく笑う。そして、幸せそうだ。彼にとってはこの表情が、ピッチ上での活躍に欠かせないものとなっている。ハンブルガーから1000万ユーロ(約14億円)でシーズン開幕前に加わった頃より、ずっとリラックスできるようになった。ハンブルガーでは最も若い選手の一人でありながら、クラブでトップクラスのパフォーマンスを披露することができていた。だが、この大きな移籍金は、そのままプレッシャーとなってこのアタッカーの肩にのしかかっていたのである。

調子を取り戻した古巣との一戦

 12−13シーズン、ソン・フンミンは、ブンデスリーガで12ゴールを決めた。クラブ史上初の2部リーグ降格を避けるための戦力として、ハンブルガーにはこのFWのクオリティーが不可欠だった。

 変わらぬ力を発揮するよう期待されていたが、今は分水嶺に立っている。12月上旬から、この21歳のFWはゴールから見放されてしまっているのだ。ドルトムントを1−0で破る大きなゴールを決めて以降、ソン・フンミンはアシストさえ記録していない。このストライカーは、安定性が課題なのだ。新天地での最初のリーグ戦となったフライブルグ戦ではゴールを決めたものの、その後は好調な時期よりも低調な試合の方が長く続いていた。

 皮肉にも、調子を取り戻したのは愛する古巣との一戦だった。第12節(13年11月9日)のホームにハンブルガーを迎え撃った試合、ソン・フンミンは3得点1アシストと大活躍。チームを5−3の勝利に導いた。

 レバークーゼンで彼の指導にあたるサミ・ヒーピア監督は試合後、「彼は自身が素晴らしい選手であることを示してくれた」と、その爆発ぶりを称えた。活躍に導いた秘訣を、こう語ったものだ。「今週、こう言い続けたんだ。『お前のことを信頼している。もっと頭の中で自分を自由にしてやるんだ』とね」。これに対して、ソン・フンミンはこう話していた。「僕は自分自身に、大きなプレッシャーをかけてしまっていました。今日はただ楽しむためだけに、ピッチに立ちたかったんです」

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著者プロフィール

1978年生まれ。20年以上にわたり、ルール地方のサッカークラブに焦点を当て、ブンデスリーガの取材を続ける。09年からは「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)で記者を務める。ツイッターアカウントは@ruhrpoet。自身のサイトはwww.david-nienhaus.de。

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