好意的に受け入れられた本田圭佑=活躍への期待感にあふれた入団会見
現地メディアは好意的な反応
「ありきたりのことを言わない男だね!」。居合わせた記者たちに話を聞くと、そろってこう答えた。一般紙『レプッブリカ』のステファノ・スカッキ記者は言う。「外国語ですぐにああいう返しができるってことは、人の言うことを落ち着いて聞けて、考えられている証拠だろう。実際見ていても、落ち着いた人間だなという印象を受けた」。『イル・メッサッジェーロ』紙(ローマ本拠の新聞だがミラン、インテル番は存在する)のサルバトーレ・リッジョ記者は、そんな本田のパーソナリティーが現在のミランに必要だとまで言う。
「だってそうだろう。あのサングラスについての質問といい、『レストランを紹介してくださいよ』という本田の答えだって、邪険に答えてやろうと思えばできたよな。そういうことをせず、ウイットに富んだ返しをしてみせたのは、聞き手に対するリスペクトというものを感じたよ。実際に会見でも、盛んに『練習、準備』という言葉を繰り返していた。今のミランには人間的にも必要な存在だよ。(マリオ・)バロテッリや(ムバイ・)ニアングのような、頭のネジが飛んだ奴らを見れば分かるだろ?」
好印象を与えた本田の姿勢
ともかくその中で、「サムライには会ったことはないが、諦めない日本人の資質をピッチでお見せしたい」と語った本田の姿勢は、なかなか好印象だった模様だ。英語の堪能なウンベルト・ガンディーニ運営部長(ミラネッロの初訪問で本田を案内していた人物)以下、本田が想像した以上に英語も案外通じる環境だったようで、スムーズに溶け込むことができるのかもしれない。
即戦力としての期待を背負う
もっともミランは、チームの台所事情の面でも本田を早く必要としているはずである。攻守のバランスを重視するマッシミリアーノ・アレグリ監督はシステムを4−3−2−1に落ち着けているが、前線と中盤の繋ぎ役として重要な2シャドーをこなせるトップ下の選手は、スロベニア代表MFバルテル・ビルサの故障により現在はカカだけだ。
幸い1月はコッパ・イタリアがあり、本田にとっては試合の回数をこなし、チームに順応する時間が多く与えられることになりそうだ。「早くチームに慣れてくれるよう期待している」と、アレグリ監督も即戦力としてのいち早い貢献を望んでいる。本田が実直な姿勢でコンディションを作り、精神的にも不安定なチームの中でアスリートとして懸命に動いたとき、低迷する名門のムードは本当に変わるのかもしれない。そんな夢を見させるには十分な、期待感にあふれる入団会見だった。
<了>
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