ザック監督「理想のバランス追求したい」=11月・欧州遠征メンバー発表会見
まだメンバーに選ばれていない選手を選ぶ可能性もある
ザッケローニ監督は、「チームとして理想のバランスを追求したい」と語った 【スポーツナビ】
ザッケローニ監督 この時代にはやはり相手に研究されることも想定しないといけないので、よりバリエーションを多く、相手に的を絞らせないようなことをしていかなければいけないし、どこで数的優位をつくるのか、どこでプレーの精度、スピードを高めていくのかはトライしていかなければいけない。常にバリエーションは必要だし、手元にある選手の能力にあったバリエーション・形は何かというのは常に探している。その中でなくてはならないものというのが相手をできるだけ広げて、スペースをつくったうえで、相手のゴールに向かっていくということだと思う。
選手たち自身が自分たちで話し合ってプレーを合わせていくというのは非常にポジティブなことだととらえていて、(選手が)監督のところに話を持ってくるのもありだと思っているが、最終的に選手を選ぶのは監督の仕事だし、対戦相手を研究して方向性を決めていくのも監督の仕事なので、最終的には監督の判断に従ってもらう。
――新戦力の発掘を年内までにやるということを話していたが、この遠征でテストは終了する予定か?
ザッケローニ監督 W杯に行くグループはまだ決めていない。大切になってくるのは、年が明けてJリーグをはじめ、それぞれのリーグで行われるそれぞれの戦いだ。やはり心身ともにコンディションのいいメンバー、トップフォームに入っているメンバーがW杯に行くべきだと思う。
この3年間、皆さんがご存知のようにたくさんの選手を選んできたわけだが、それをやめることなく、おそらく3月のゲームでも新戦力をリストに入れることになるだろう。ヨーロッパのリーグとJリーグを並行してモニタリングしているわけで、各選手のパフォーマンスは常に情報収集しているからこの時点でまだ代表メンバーに入っていない選手が入ってくる可能性はあるし、興味を持っている人材は実際にいる。
時に招集メンバーを決めるときにすごく悩んで決めるのは事実だし、特にあるポジションでは代表候補が非常に多い。就任した頃と比べるとかなり選考の幅が広がってきたと思う。ポジティブなサインだと思うし、W杯に行きたいと思うメンバーがたくさんいるんだなと感じている。
今回も内容を重視したい
ザッケローニ監督 結果は自信を得るため、増すために大切なものだと思うが、時に結果がでなくて内容がいいときにも自信は増すものだと思う。特に自分たちの狙い、やりたいことが通用したときに自信は高まっていくものだと考えている。
内容が悪くても結果が出ることはあるけれど、長い目でみるとやはりいいプレーをしているチームが継続して結果を残していけるチームだと思う。今回も内容を重視したいと思うし、クオリティとインテンシティを90分間出し続けることができるチームを作ることができれば、長いスパンで見ると、結果的に結果を残すチームが作れると考えている。
サッカーやスポーツの世界だけでなく、他の分野でも何か仕事が終わった後には分析をしなければならない。その分析の仕方は2つある、ひとつは結果を基に分析していく方法、もうひとつは自分たちが狙ったことに対してその結果がどうだったのかを分析する方法がある。個人的には後者を使用することにしていて、まず自分が何をしたかったのか、それが通用したのかということを探りながら分析していくことにしている。
勝っているときは何でも良くて、負けているときにはすべてがうまくいっていないという考え方もあるが、監督としてはそれらに目を向けていてはだめだと思うし、結果に左右されるのではなく、何が起こっていたのか、何をしようとしていたのか、それができたのかなど原因を探っていくのが監督だと思っている。
例えば10月の試合を振り返ってみると、守備のところではうまくできていたと思うし、逆に攻撃のところではインテンシティとスピード感が足りなかったと分析している。特にベラルーシ戦では唯一ピンチになったのがゴールのシーンで、シュートを決められてしまった。それだけだということである。
柿谷の特徴を周囲も理解する必要がある
ザッケローニ監督 柿谷に限らず他のFWにも言えることだが、ボランチを含めた、すべてのチームメートとより多くプレーをすることでチームになじむ必要がある。代表チームは、日常的にトレーニングを一緒にできないので、(コンビネーションを)合わせる時間が必要になる。
柿谷に関しては日本人的ではない部分がある。日本にはポゼッションであったり、パスをつなぐであったりと、コンビネーションで相手ゴールに迫っていくというサッカー文化があり、それはJリーグなどでもよく見られる。しかし彼の場合、一発で裏に抜けることを好み、抜けるタイミングというものを持っているので、チームメートも彼の特徴を生かしていくような時間が必要だ。また柿谷は裏に抜けるだけでなく、下りてきてコンビネーションを生かすこともできるが、そうした彼の特徴というものを周囲も理解する必要がある。
──今回、高橋と大迫が復帰した理由は?
ザッケローニ監督 理由としてはローテーションしたということだが、ふたりとも9月、10月もいいパフォーマンスだったので招集した。10月のシリーズでは、他の選手を見たかったということで今回はローテーションした。ふたりとも、それぞれの所属チームでいいパフォーマンスしているし、代表に呼ばれたときには非常にいいパフォーマンスをしてくれていたので、手元において見てみたいと思った。先ほども言ったが、大まかなグループも決まっていない状況なので、今後もローテーションで新しいメンバーが入る可能性もある。最終的には(メンバーは)5月の時点まで待ってもらうしかない。私は誰のことも忘れていない。スタッフで手分けして、すべての選手を見るようにしている。すべての選手に代表への門戸は開かれていると思ってほしい。