福永も驚いた!ジャスタウェイ秋盾劇勝=女王ジェンティルドンナ眼中にも入らず

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4歳春、肉体面・精神面で急成長

2歳時からジャスタウェイの主戦を務めていた福永だけに、このビッグタイトルの嬉しさは格別だろう 【写真:中原義史】

 この1年8カ月もの間、勝ち星すらなかった通算2勝馬が一躍、天皇賞馬へと大出世。この事実だけでも驚きだが、確かに、近3戦の重賞はいずれもメンバー最速の上がりで3連続の2着に突っ込んでおり、「追い込み馬で毎回安定した成績を残せるのは、力がないとできないこと」と福永が語ったように、ここに来ての地力強化は著しかった。須貝調教師がジャスタウェイの変化について、こう説明する。
「2、3歳のころは肉体面、精神面で弱かった部分があったんですが、特に春ごろからすごく成長がうかがえていたので、どこかで大きなタイトルを、とは思っていたんです」
 去年までは環境の変化に敏感だったことから、遠征競馬になると飼い葉を食べなくなってしまい、馬体が減って能力を出しきれないという弱点があった。ところが、今回は台風の影響もあって1日早く東京へ輸送したにも関わらず、現地入りした後も飼い葉をしっかりと食べ、当日の馬体重は前走からマイナス2キロにとどまった。ここに精神面での大きな成長の跡を見てとれる。

 一方の肉体面に関しても、「夏前のエプソムカップの調教のときに久々にジャスタウェイに乗ったんですが、体つきが全然違っていましたね。本格化してきたから、いずれビッグレースを狙えると陣営の方とも話していたんです」と、福永がその急激な成長ぶりを明かしてくれた。
 父ハーツクライも、ディープインパクトを倒して自身初のビッグタイトルを手にしたのは4歳冬の有馬記念。その“遅咲きの血”が如実に開花の兆しを見せていたのは間違いなかったのだろう。それが、福永の好騎乗と相まってこの府中の大舞台で満開となったわけだ。

JCは回避、今後の路線はどこになる?

JCは回避を明言、次なる目標がどこになるのか楽しみだ 【写真:中原義史】

 次走に関して須貝調教師は、ジャパンカップは回避することを明言したが、秋の盾でこれほどまでの競馬をやってのけた馬の今後の戦いぶりに楽しみは尽きない。それはジョッキーも同じ思いだ。
「乗りやすいですし、騎手の意のままに動く馬。ジェンティルドンナを打ち負かしたんですから、どんなレースでも大丈夫だと思います」

 その福永にしても、初の牡馬クラシックを制した前週の菊花賞に続き、今度は春秋を通じて初の天皇賞タイトルと絶好調。「レース前に『君が代』が聞こえてきたときにはすごく集中力が高まりましたし、おごそかな気持ちでゲートに入ることができた。天皇賞はやっぱり普通のGIではないですね。このレースを勝てたことは最高のステータスだと思います」と、その価値をかみしめている。
 まさに充実気を迎えた福永とジャスタウェイ。どの路線を進むにしても、同じ須貝厩舎のゴールドシップとともに、日本競馬界の新エースとしての活躍を期待していい。

<了>

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