福永も驚いた!ジャスタウェイ秋盾劇勝=女王ジェンティルドンナ眼中にも入らず

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福永&ジャスタウェイが天皇賞・秋を勝利、ジェンティルドンナ以下を4馬身ちぎる圧巻の競馬だった 【写真:中原義史】

 秋競馬伝統の大一番、第148回GI天皇賞・秋が27日、東京競馬場2000メートル芝を舞台に争われ、福永祐一騎乗の5番人気ジャスタウェイ(牡4=栗東・須貝厩舎、父ハーツクライ)が優勝。中団追走から爆発的な末脚を繰り出し、岩田康誠騎乗の1番人気ジェンティルドンナ(牝4=栗東・石坂厩舎)に4馬身差をつける圧勝で、秋競馬最高の栄誉を手に入れた。良馬場の勝ちタイムは1分57秒5。

 ジャスタウェイは今回の勝利でJRA通算16戦3勝。重賞は2012年GIIIアーリントンカップ以来となる2勝目。騎乗した福永、同馬を管理する須貝尚介調教師ともに天皇賞は春秋を通じてうれしい初勝利。また、福永は前週のGI菊花賞(エピファネイア)に続き2週連続のGI勝利となった。

 なお、ミルコ・デムーロが騎乗した昨年の覇者エイシンフラッシュ(牡6=栗東・藤原英厩舎)は、2着ジェンティルドンナから2馬身差の3着に敗れ連覇ならず。また、2番人気に支持されていた武豊騎乗のトウケイヘイロー(牡4=栗東・清水久厩舎)は10着に敗れた。

ジョッキーの想像を超える勝ちっぷり

通算2勝馬から天皇賞馬へと大出世だ 【写真:中原義史】

 驚愕の圧勝劇だ。騎乗していた福永でさえ「僕も戸惑ったくらい」と目を丸くした破格の競馬。GI4勝の女王ジェンティルドンナを4馬身も置き去りにするなんて、ジョッキーが想像する範疇すらも超えていたのだろう。“まさか”と言っては失礼な話だが、それほどまでに衝撃的な内容だった。

 道中は武豊トウケイヘイローが刻む速いペースの中、ちょうど真ん中の位置取り。前後左右ともに十分なスペースがあり、福永&ジャスタウェイは実に伸び伸びとラップを刻んでいた。
「エイシンフラッシュを1つの目安としていたんですが、同じくらいのポジションで競馬ができましたね。向こう正面では一番プレッシャーがないポケットに入ることができて、本当にいいところを取れました」
 レースを振り返ったこの場面で、思い出したように笑みがこぼれてしまった福永。それほどまでに理想的な位置取りだった。もともと「中団あたりからインを通るのがベスト」と考えており、その通りの場所をすんなりとキープするには、ジャスタウェイが苦手としているゲートをうまく出る必要がある。その点に関しても抜かりはなかった。
「何もやらずにレース後に『やっておけば良かった』って後悔はしたくなかった」と、レース直前にゲートに入る練習を敢行。これが功を奏したという。

勝負は一瞬!「アッという間に置き去りに」

勝負はまさに一瞬! アッと言う間に突き抜けた 【写真:中原義史】

 スタート良し、道中の目標と想定していたエイシンフラッシュもすぐ目の前、位置取りはベストだ。
「エイシンフラッシュが道を作ってくれると思っていました。その通り、エイシンフラッシュのすぐ外に“道”ができていた。レース前はずっとインを通って行こうと思っていたんですが、これで外に切り替えようと思いました」
 このレース、ジャスタウェイの強さばかりが目立つ形となったが、その裏では福永が実に冷静だった。勝利への道程を誤ることなく、見事に相棒をエスコートしていた。
「すごく集中できていましたね。他馬の動きに惑わされることがなかった。4コーナーでも内か外か迷った場面はあったんですが、内にエイシンフラッシュがいましたし、ダノンバラードの手応えも悪く見えたので、内に入って行ったら前が詰まるだろうなと、外のポジションをキープして、直線に向くまでジッとしていました」

 そして何の不利もなく、スムーズな競馬で迎えた最後の525メートルの直線、今年の天皇賞・秋最大のハイライトが訪れる。

「手応えが違いましたね。追い出してからの反応が凄かった。アッという間に置き去りでした。ジェンティルドンナも見えなかったです。本当にアッという間です」

 例えれば、それは居合抜きのようなものか。2番手から先に抜け出した女王とつばぜり合いをすることもなく、ただ一刀のもとに両断。ジョッキーが感嘆混じりの声で語ったように、ただの一瞬で勝負はついていた。
 ちなみに、ジェンティルドンナの上がり3Fが35秒8だったのに対し、ジャスタウェイはメンバー最速の34秒6。2番目に速い数字がエイシンフラッシュの35秒5なのだから、数字の上からでも、いかにジャスタウェイがとんでもない脚を繰り出したかが、分かるというものだ。

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