“超新星”堀口恭司がUFCデビュー戦で見せた可能性
広い射的距離の打撃と試合を覆せる爆発力
堀口が対戦したのはUFCの登竜門番組TUF出身で、11勝8敗の戦績を持つダスティン・ペイグ。11勝のうち3つはKO、8つは一本勝ちと、全ての試合をフィニッシュし決定力を有している。
ケージの中で向き合うと、165センチの堀口に対しペイグは175センチと両者の身長差が際立つ。堀口は開始間もなくスイングフックを交錯させた後、バックへ付かれスタンド状態のままチョークで襲われ窮地となるが、これを脱出。長くバックから攻められたことで1Rは失ったが、2Rに入ると身長差を感じさせず右フックから繋いだ左フックでダウンを奪い、最後はペイグを小外掛けでテークダウンしパウンドをまとめてTKO勝利を果たした。
昨年12月の「VTJ 1st」でも173センチのイアン・ラブランドと対戦した堀口だが、右クロスでダウンを奪い、度々ハイキックも見舞うなど身長差を苦にした様子を見せておらず、このあたりは空手で身につけた飛び込みと、通常の選手より大幅に広い射程距離によるところが大きいようだ。165センチの堀口はUFCバンタム級を見渡してもどちらかといえば小さい部類に入るが、そこはそのサイズ差を無効化できる武器がある。
ペイグ戦では1Rの劣勢を2R一気に逆転しての勝利となったが、この爆発的パワーで試合を覆すことができるのも堀口の魅力の1つ。UFC直前の試合となった石渡伸太郎戦(6月22日「VTJ 2nd」)でも、4Rまで37−39、38−38、37−38とスコアリングでは後れを取ったが、5R開始直後にタックルのフェイントから右フックを決め、そこからラッシュでノックアウト。窮地を跳ねのけ逆に仕留める、ペイグ戦同様に堀口の持ち味がよく出た一戦であった。
今後戦う上で鬼門になりそうなグラウンド
唯一の敗北となった上田将勝戦(2012年1月8日)、さらに井上学戦(2012年7月16日)、石渡戦と、テークダウンに長けそれをしつこく繰り返してくる相手、そこからのグラウンド戦に堀口は苦戦してきた過去がある。UFCでも相手がそうした戦法に徹してきた際鬼門となりそうだが、すでに打撃においてはバンタム級トップ勢にもひけを取らないのでは、と思われるだけに、まずは第2戦・第3戦も勝利し、UFCの先輩ファイター・水垣偉弥に続くランキング入りを期待したい。
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