【物語りVol.136】リーグワン第8節レビュー 「チーム全体の力」で府中ダービーを制す

東芝ブレイブルーパス東京
チーム・協会

【東芝ブレイブルーパス東京】

東芝ブレイブルーパス東京では、多くの皆さまにクラブのことをより知っていただくために、今シーズンもライターの戸塚啓さんにご協力いただき、選手・スタッフ一人ひとりの「物語り」を発信しています。

■「相手を困惑させるオプションは持っていた」

伝統の一戦を、43対33で勝ち切りました。

NTTジャパンラグビーリーグワン2024-25 第8節、東京SG戦が2月15日に行われ、東芝ブレイブルーパス東京は43対33で勝利しました。

3分にイエローカードでひとり少ない状況に立たされ、5分にはFLシャノン・フリゼル選手が一時退出します。6分にペナルティゴールで先行されますが、8分にフリゼル選手と一時的に替わったFL德永祥尭選手が力強くインゴールへ飛び込みます。15分、24分にもWTBジョネ・ナイカブラ選手がトライをあげ、東芝ブレイブルーパス東京はリードを拡げます。

24分のトライの場面では、SH杉山優平選手がスクラムから自ら仕掛け、FB松永拓朗選手からナイカブラ選手へボールがつながりました。杉山選手の好判断がトライへつながったと言える場面です。

杉山選手が振り返ります。

「リッチー(モウンガ選手)が動いたほうにボールをシフトするのではなく、逆へいったら相手が困惑するかなというオプションは持っていました。あのタイミングはそれでいけるかな、と思ったのでいきました」

 24対18で迎えた前半終了寸前には、敵陣ゴール前でのスクラムからSOリッチー・モウンガ選手がしかけます。相手選手を引きずるように突き進み、ボールを持った右腕をインゴールへ伸ばしました。試合後には納得の表情を浮かべます。

「今日はちょっとマインドセットを変えました。ここ数週間、配球役に徹した部分があって、それは決して嫌ではないのですが、股関節もかなり良くなってきてフィジカルが上がってきたなかで、そろそろランでも貢献したいと思っていました」

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■「スペースがあったので狙えると思った」

 31対18で後半を迎えますが、50分過ぎまでに2本のトライを許して1点差に迫られます。58分にはフリゼル選手がイエローカードを受けて数的不利となりますが、チームは粘り強いディフェンスで対抗します。トライを与えません。

LO伊藤鐘平選手は、「先週もそうだったんですけれど、ゴールラインを背負ったときのディフェンスはすごく良くなってきています」と話します。FL佐々木剛選手も、伊藤選手と同じような感触を得ていました。

「ディフェンスもアタックもそうですけど、今週フォーカスしてきたことが試合につながっていました。とくにゴールラインを背負ってもあまり後ろを気にしなくていいというか、より前へ出る意識が良かったのかなと思います」

 その佐々木選手は、67分にインゴールへ飛び込みました。「チームのシェイプとして自分が外にいることが多くて、内側のFWが頑張って寄せてくれたおかげ、(パスを出してくれた)リッチーがあそこまで引っ張ってくれたおかげでもありました。トライは取り消しになってしまいましたけれど、ああいうフィニッシュまで持っていけたのはすごく良かったと思います」と、練習の成果を強調しました。

 31対30のままで迎えた70分、スコアが動きます。LOジェイコブ・ピアス選手からクイックパスを受けたCTBロブ・トンプソン選手が、中央から一気に抜け出してゴール下へ運びました。

「あのトライは、実は本来いるべきところにいなかったのですが、スペースがあったので狙えるなと思いました。パスをくれたジェイコブにありがとうと言いたいです」

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このトライと松永選手のコンバージョンで38対30とスコアを拡げると、76分にはラインアウトモールで押し込みます。最後は途中出場のHO橋本大吾選手がトライしました。

 橋本選手はこのトライを含めて、インパクト十分のプレーを披露しました。リザーブからの出場が続くなかで、コンスタントにチームに貢献しています。

「スペースがどこにあるのかをしっかり見て、自分が切り裂いていければと。前半からバチバチの試合をしてくれるので、後半にスペースができて、僕のランコースができている感じでしょうか。リザーブとしては、(時間の経過とともに)お互いが疲労しているなかで、フレッシュな僕が声を出して味方のプレーの判断を助けたいと思っています」

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■「リザーブメンバーの存在は非常に大きい」

前半と後半にイエローカードが1枚ずつ出る厳しい展開のなかで、東芝ブレイブルーパス東京は府中ダービーを制しました。ボーナスポイントも獲得して勝点を30とし、通算成績6勝1分1敗の2位で首位の埼玉WKを追いかけています。

試合後の記者会見でリーチ マイケル主将は、リザーブメンバーの貢献に触れました。

「リザーブメンバーのトク(德永)、(アニセ・)サムエラ、(橋本)大吾は、モールのトライで起点になっていました。大吾はラインブレイクに何度も顔を出しました。(高橋)昴平は、試合の最後でスティールをしました。試合にインパクトを与えたリザーブメンバーの存在は、非常に大きいです」

 リーチ選手はさらに、K9と呼ばれる試合メンバー外選手について話します。「自分たちの試合に出ていないメンバーがリーグワンに出たら、すごく怖いなと思います。上位に(食い込む)チャレンジができると思います」と、チーム全体のクオリティを評価しました。

 トンプソン選手も、K9の存在を讃えます。

「練習でキツいことをすれば試合で楽になるというか、練習からプレッシャーがキツくて、K9の選手も次の対戦相手を意識してやってくれています。彼らはオーダーされたことを黙々とやってくれて、決して不満を漏らさないし、腐っているようなしぐさも見せることもありません」

 スタートから出場する15人とリザーブの8人、さらにはK9とスタッフが一体となり、週末の試合へ向けて準備していく。小さな積み重ねを大切にする一貫した姿勢が、東芝ブレイブルーパス東京らしいラグビーを表現することにつながっています。

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モウンガ選手は言います。

「毎週良くなることが大切、というと聞きなれた常套句のようになってしまいますが、1試合ずつ学びを得て、次の試合での良いパフォーマンスへつなげる作業を、シーズンを通して続けることが大切です。あとはチームとしてケガなく過ごすこと。ケガ人が出たときには代わって入る選手の質、スコッドに厚みがあるかどうかが、長いシーズンでは効いてくるでしょう」

 東芝ブレイブルーパス東京の次節は、2月22日開催のBR東京戦です。秩父宮ラグビー場でのビジターゲームとなります。

 BR東京はここまで2勝6敗の11位ですが、選手たちに油断はありません。伊藤選手は「いまのリーグワンはどのチームも強い。戦力で戦わないと勝てない」と気持ちを引き締めます。杉山選手も「(前年王者だからといって)追われる立場とは思っていません。毎試合、毎試合、良い準備をして挑む。それが自分たちのスタイルです」と話します。

 翌週末の3月1日には、鹿児島県の白波スタジアムでホストゲームが行なわれます。今節まで勝点28で3位につけるS船橋ベイとの上位対決は、大きな注目を集めることでしょう。

九州で初めて開催するホストゲームへ向けて、まずは22日のBR東京戦に全力を注ぎます。



(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)

【東芝ブレイブルーパス東京】

次のホストゲームは、3/1(土)に鹿児島・白波スタジアムにて、クボタスピアーズ東京・船橋ベイと対戦します。

ぜひ会場で皆様の熱いご声援をよろしくお願いします!!

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著者プロフィール

東芝ブレイブルーパス東京はジャパンラグビーリーグワン(Division1)に所属するラグビークラブです。日本代表のリーチマイケル選手や德永祥尭選手が在籍し日本ラグビーの強化に直接つなげることと同時に、東京都、府中市、調布市、三鷹市をホストエリアとして活動し、地域と共に歩み社会へ貢献し、日本ラグビーの更なる発展、価値向上に寄与して参ります。

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