宮市にとって正念場となる1カ月=「若手の宝庫」から抜け出す可能性
ケガ人続出で出場のチャンスをつかむ
ケガ人が続出し、出場機会を得ている宮市(写真)。現地メディアの評価はやや辛口なものになっている 【写真:アフロ】
まずは、8月27日のチャンピオンズリーグ(CL)予選プレーオフ、フェネルバフチェ戦(2−0で勝利)に74分から途中出場し、今シーズン公式戦初出場。続いて9月18日のCL第1節、オリンピック・マルセイユ戦の終了間際に出場し、CLにも初出場。4日後にはエミレーツ・スタジアムにストーク・シティを迎えた一戦で73分からピッチに入り、念願だったアーセナルでのプレミアリーグ初出場を果たした。さらに3日後の25日には、キャピタルワン・カップのウェストブロムウィッチ戦に先発出場。初めてアーセナルのシャツを着て、公式戦のスターティングメンバーに選ばれた。
アーセン・ベンゲル監督が宮市を使うようになった理由は明白だ。それはケガ人の続出である。そもそも、プレミアデビューのストーク戦も、元々はベンチ外だった。しかし、セオ・ウォルコットがウォームアップの時点で腹部の痛みを訴えて出場を回避し、急きょ宮市がベンチに入り、途中出場が実現した。そのウォルコットは結局、手術を受けて10月末頃まで復帰できない。さらに、8月の時点でアレックス・オックスレイド=チェンバレン(ひざ)とルカス・ポドルスキ(ハムストリング)が長期離脱を強いられ、サンティ・カソルラ(足首)や、元々負傷がちなトマシュ・ロシツキー(ハムストリング)もピッチに立てていない。
4−2−3−1のトップ下は完全にレアル・マドリーからやってきたメスト・エジルの定位置になったが、両サイドは人材不足で、ここ数試合はアーロン・ラムジーやジャック・ウィルシャーといったセントラルMFがサイドに出て先発している。トップチームで元気なウインガーは、宮市と18歳のドイツ人MFセルジュ・グナブリーの2人しかいないのだ。
現地メディアの評価はやや辛口
それだけに、若手が大量起用されたキャピタルワン・カップが、ここまでで最大のアピールチャンスだった。ウェストブロムウィッチのホームに乗り込んだこの一戦で、宮市はグナブリーや20歳のMFトーマス・アイスフェルド、18歳のMFアイザック・ヘイデンらとともに先発出場し、延長戦を含め120分間のフル出場を果たした。“ヤングガナーズ”は、PK戦の末に次のラウンドへの進出を決めている。試合後、ベンゲル監督は「多くの若手選手を起用したが、彼らは有能な選手というだけでなく、戦える選手だということを示してくれた」「若手たちは、アーセナル流のフットボールをプレーできることを証明してくれた」と若手のプレーに一定の評価を与えた。
一方で、現地メディアの論調はやや辛口だった。例えば『テレグラフ』のマッチレポートでは、「8年の無冠を終えるのは、ベンゲルの変わらぬ若手への信頼と、それがもたらす選手層なのかもしれない」と前置きしたが、「この日はグナブリー、アイスフェルド、宮市、ヘイデンがチャンスをもらったが、最も期待に応えたのは年長者(27歳)のナチョ・モンレアルだった」とし、目立った若手はいなかったという見解だ。『インデペンデント』も、「ベンゲルはチェルシー戦でも若手を使うか未決定」という見出しで、チェルシーとの対戦が決まった次の4回戦でも若手を先発させるかどうかは「正直、分からない。ケガ人の状態次第だ」というベンゲルのコメントを紹介している。