ダービーで完敗、高まる香川起用の声=開幕5試合でいまだピッチに立てず
ダービーでも出場機会がなかった香川(左から2人目)。開幕から5試合、いまだリーグ戦ではピッチに立てず 【Getty Images】
左サイドで候補の3番手
サイドに関しては、ライアン・ギグスが先発した第3節リバプール戦以外、CLも含めて右はアントニオ・バレンシアの指定席だ。左は開幕戦がギグス、第2節がウェルベック、そしてここ3試合がアシュリー・ヤング。CLレバークーゼン戦のみ、香川がこの位置で先発している。つまり、攻撃陣で唯一レギュラーが定まっていない左サイド候補の1人に香川がいるわけだが、ここまでモイズはほとんど彼にチャンスを与えていない。コーチを兼任するギグスを「ジョーカー」とすれば、香川はヤング、ウェルベックに次ぐ3番手というのが客観的な位置づけだ。アレックス・ファーガソン政権下の昨季終盤、限りなく一番手に近づいていた香川が“降格”した理由は何なのか。モイズ監督は新チームを率いるにあたって「同じメンバーでやりくりする必要があった」と説明した上で、出場機会が少ない選手についてこう補足している。
「まだプレーをしていない選手が数多くいる。しかし、彼らのほとんどがコンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯)に出場し、さらにその後も代表の親善試合に参加し、合流が遅れた選手たちだ。長時間のフライトを経て代表に行っていたから、彼らを起用できなかった」
「シンジはチームへの合流が遅れた。それが彼にとって大きな問題になってしまった。日本でのツアーに合流し、試合に出場した後も、彼には1週間の休養を与えなくてはならなかった」
モイズの心に浮かんだ“現実主義”という言葉
「モイズが香川を冷遇することに関する唯一の結論は、彼がユナイテッドに望んでいるプレーに、24歳のMFが適合しないということ。チェルシー、リバプールとの連戦という厳しい序盤戦にあたって、モイズの心にはまず“現実主義”という言葉が思い浮かんだ。その結果、香川のようなプレーメーカーの居場所はなかった」
「(マルアン・)フェライニの加入も、香川にとってはいいニュースではない。彼のフィジカルは、モイズが進むつもりの道を示している。そしておそらく、ルーニー不在の場合はフェライニがファン・ペルシーの下でプレーするのだろう。香川はますます取り残されてしまう」
厳しい論調にも見えるが、基本的にマクドネル記者は「香川起用」を望んでいる。
「なぜモイズは香川を使わないのか? アンフィールド(リバプールの本拠地)でインスピレーションやアイデアを欠いたユナイテッドには、この日、スタンドに座って試合を見ていた香川が持っているような狡猾(こうかつ)さや“(相手守備陣の)カギを開ける”スキルが必要だった」
実は、こうした見解はイングランドでも非常に多い。今でも、批評家やファンの間で、香川への期待値は基本的に高いのだ。9月12日付けの『デイリーメール』では、元アーセナルのDFマーティン・キーオンが香川の起用法について意見を述べた。「香川がユナイテッドの攻撃に必要だと思いませんか?」というファンの質問に対し、キーオンはこう答えている。
「私は彼がもっと出場すべきだと思っている。シティのダビド・シルバ、トッテナムのパウリーニョのように、コンフェデ杯に出てもすでに活躍している選手はいる。彼は違いをもたらせる選手。ファン・ペルシーの下でプレーしたいかもしれないが、問題はそこにルーニーやフェライニがいること。香川は重心が低くて良い選手だ。スティーヴン・ピーナールを思い起こさせる。チャンスが訪れたら、それを確実にモノにしなければいけない」