五輪候補スカッシュの現在と見据える未来
2020年五輪競技の最終候補に残ったスカッシュを取り巻く現状、そして見据える未来とは?(右・男子世界団体スカッシュ選手権で22位となった日本の机伸之介) 【フランス スカッシュ連盟】
同じく最終候補に残った野球&ソフトボール、レスリング比べて、日本におけるスカッシュの認知度は低い。日本全国合計でも、コートはわずか155箇所。47都道府県のうち、富山県や高知県など14県にはコートがない。しかもここ10年は費用対効果の観点から、全国のスポーツクラブにコート廃止の流れが起きており、規模縮小の方向に進んでいる。
五輪に選ばれる可能性は十分
6月9〜15日に開催された男子世界選手権、地元フランスの試合は満員に 【フランス スカッシュ連盟】
(1)競技人口
(2)世界的な普及度
(3)男女のバランス
(4)年齢のバランス
(5)新加入の競技であること
競技人口が公称2000万人とされるスカッシュは、185カ国でプレーされ、全大陸に王者が存在する。かつレスリングのように男女の競技人口が偏っておらず、またテクニックが重視される競技であることから、愛好者の年齢も幅広い。またWSF関係者は、五輪復帰を目指す野球&ソフトボール、レスリングに対し、初の五輪種目入りを目指している点も追い風になると語る。
スカッシュは過去に何度も五輪種目入りに挑戦し、そのたびに敗れてきた。スカッシュが五輪を目指すのは、単にオリンピックスポーツへの憧れだけではない。この競技の持つ最大の問題の解決手段として最も有効だからだ。最大の問題とは、慢性的な資金不足。五輪競技に選ばれれば、国からの資金援助が確実に増える。その事情はどの国も共通している。
世界的な資金不足
世界団体選手権で優勝した英国のエース、ニック・マシュー(手前) 【フランス スカッシュ連盟】