千六でも最強カナロア! 世界の二冠王へ―岩田には10万円の過怠金、後味悪く

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ロードカナロアが安田記念V、スプリント&マイルの二冠王に 【写真:中原義史】

 春のGI東京5連戦のラストを飾るマイル王決定戦、第63回安田記念が2日、東京競馬場1600メートル芝を舞台に争われ、昨年の最優秀短距離馬で岩田康誠騎乗の1番人気ロードカナロア(牡5=栗東・安田隆厩舎、父キングカメハメハ)が優勝。中団追走から直線外を力強く伸び、マイルの舞台でも“最強”をアピールした。良馬場の勝ちタイムは1分31秒5。

 ロードカナロアは今回の勝利で通算16戦11勝(海外1戦1勝含む)、重賞は7勝目、GIは2012年スプリンターズS、12年香港スプリント、13年高松宮記念に続く4勝目。騎乗した岩田は08年ウオッカに続く安田記念2勝目、同馬を管理する安田隆調教師は同レース初挑戦で初勝利となった。

 一方、クビ差の2着には浜中俊騎乗の3番人気ショウナンマイティ(牡5=栗東・梅田厩舎)が惜敗。さらに3/4馬身差の3着にはクリスチャン・デムーロ騎乗の12番人気ダノンシャーク(牡5=栗東・大久保龍厩舎)が入った。

マイルも問題なし、残り400mを突き抜けた!

「ロードカナロアを信じていた」と岩田、レース後にはこのパフォーマンス 【写真:中原義史】

 不安視された400メートルの距離延長。しかし“世界のロードカナロア”は、その残り400メートルから恐るべき底力を発揮した。

「ロードカナロアの力を信じて乗ること。距離を計りながら、ゴールから逆算して追い出しました。馬自身、最後の直線は弾けてくれましたね」

 岩田が振り返った。焦って早仕掛けになるでもなく、距離を意識し過ぎて追い出しが遅れるのでもなく、ジョッキーの言葉通り“マイルでも大丈夫”と信頼しきった上での、絶好タイミングでのGOサイン。ロードカナロアも、鞍上の信頼に100%応える脚を発揮。坂を上がって残り200メートルとなってもスピードは衰えることなく、マイルGI馬やスタミナに優れる中距離馬を次々となぎ倒し、難関の府中マイルを先頭で走破した。

「マイルでも持つという気持ちで乗りましたが、やっぱり、さすがだなという思いですね。本当に嬉しいです」

外側に斜行も審議なし、説明に曖昧な印象も

最後の直線は外側へ大きく斜行、審議ランプこそつかなかったが岩田には過怠金10万円の制裁が下り後味の悪さは残った 【写真:中原義史】

 岩田はスプリント戦と変わらぬパフォーマンスを見せたロードカナロアに賛辞の言葉を惜しまなかった。その一方で、このレースはスマートに勝ち切ったとは言い難い。岩田が反省の言葉も口にする。
「この馬は1頭になると集中が途切れてしまうところがある。それで、今回も最後の直線で1頭になって外に寄れてしまいました。修正することができず、それが心残りです」
 直線半ばで堂々先頭に立ったロードカナロアだったが、残り200メートル付近で大きく外側に寄れて斜行。これの影響で外から急襲してきた3着ダノンシャーク、そのさらに大外から突っ込んできたショウナンマイティも外へ振られてしまった。

 この一件は審議のランプもつかず、それゆえに着順もそのまま。しかし、レース後、岩田にはこの件で過怠金10万円の制裁が科せられた。JRAの説明によると、岩田ロードカナロアの加害はあくまで3着ダノンシャークへのものであり、2着ショウナンマイティに対するものではないこと、また1着馬と3着馬の着差・ゴール前の脚色から推測して、例え斜行がなくとも着順が入れ替わるまでには至らなかったとの判断から、審議ランプもつかなかったという。
 とはいえ、2着ショウナンマイティも明らかにロードカナロアの斜行にアオられる形で外に振られているだけに、JRAの説明はどこか曖昧な印象を与えた。

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