CLで証明した「ドイツ時代」への一歩=ブンデス2強が演出した最高の決勝戦
史上初のドイツ勢対決
ここ数年で最高の決勝は、バイエルンが終了間際のゴールで勝利し、CLを制した 【Getty Images】
ウェンブリーで披露されたドルトムントのプロ意識がどんなもので、夜空に優勝カップを掲げたのがミュンヘンのスターたちであれども、今季のCL勝者はたった一つ。決勝の舞台を最高の広告とした、ドイツサッカーである。
ここ数年でも、最高の決勝戦だった。CL史上初のドイツ勢の激突となった決勝では、公正さとバランスが世に示された。ユルゲン・クロップとユップ・ハインケスは芝生の上で演じるチェスで、守備をチームの基盤とした。しかし、それよりも際立っていたのはスピードであった。観客は選手たちがオープンに上下動する様を目にし、両チームともにリスクを負うことを厭わなかった。
変化のきっかけ与えたユーロ2000の敗退
ドイツ国外でよく尋ねられるのが、「ドイツがスイッチを切り替えたのはいつだったのか」という質問だ。以前のドイツは数十年にわたり、特にその精神力によって、サッカー界を力で支配。効率性と抑えられない勝利への渇望が相まって、経験豊富なドイツのチームたちを好ましからざる対戦相手たらしめてきた。だが21世紀に入った頃、この成功のレシピは賞味期限が切れた。機能しないリベロを配したエーリッヒ・リベック率いるドイツ代表が、無残な結果でグループステージ敗退に終わった00年のユーロ(欧州選手権)の後、ドイツサッカー界は完全に進む道を変えた。
ユーロ2000の結果を受けた同年、ドイツサッカー協会(DFB)はドイツサッカーリーグ協会(DFL)を設立した。DFLがブンデスリーガの1部と2部を、そしてそこに所属するプロクラブの運営を管理した。さらに、インフラの充実を図ることでブンデスリーガは大きな発展が促された。主に厳格なライセンスのガイドラインにより、ユースアカデミーが恩恵を受け、安定化へとつながっていったのだ。