名門再建へ、J2千葉が抱えるジレンマ=「今季こそ」昇格への思いは結実するのか
決定力を強化すべく迎えた2人の外国人
決定力を強化すべく迎えられたケンペス。ここまでリーグ最多の9ゴールを挙げ、得点ランキングのトップに立っている 【写真:松岡健三郎/アフロ】
なぜ千葉は昇格できなかったのか。昨季、ガンバ大阪から古巣に復帰し、今季はキャプテンを務めるDF山口智は、その理由を「決定力」とした。「昨季は今年以上に決定的な場面は多かったと思うし、勝ちきる力がなかった」。
その「決定力」を強化すべく迎えたのが、FWケンペス、FWジャイールというブラジル人アタッカーだった。クロスに対して点で合わせることに長けているケンペス。抜群のテクニックでゴールを含めたチャンスメークを1人でこなせる力をもつジャイール。第13節を終えた段階でケンペスは9ゴールで得点ランクトップに立ち、ジャイールも4ゴールを挙げている。チーム全体の20得点のうち、2人で半数以上の13得点。その数字を見れば、決定力の問題は解消されているかのように思える。
しかし、成績は5勝6分2敗の6位。スタートダッシュに成功したとはとても言えない成績だ。外国人2人の決定力が結果に結びついていない。昨季はこの時点で7勝3分3敗だった。単純比較できるわけではないが、むしろ昨季より成績が悪くなっている。得点が16から20に増えているにも関わらず。
得点力を取るか、守備力を取るか
今の状況を端的に言えば、外国人選手が得点できるかどうかに勝敗が左右されている。それはいわゆる“外国人頼み”ではなく、外国人選手が得点でチームに貢献している一方、得点できなければ守備に穴を空ける存在で終わってしまっているということだ。特に現代サッカーでは、攻撃と守備は決して別物ではなく、表裏一体だ。たとえば岡本が「良い守備があって良い攻撃がある」と言うように、高い位置でボールを奪って、相手が守備を整える前に素早く攻撃することでチャンスは作りやすくなる。あるいはボールを保持する、攻撃し続けることによって相手の攻撃の機会を減らせば、おのずと守備機会も減る。だが、今の千葉は得点力を取るか、チーム全体の守備力を取るか、ジレンマを抱えている状態になってしまっている。