長谷川穂積は今もなぜ、戦い続けるのか=最強王者への挑戦表明に込めた明確な回答
長谷川穂積はなぜ戦い続けるのか――その答えは「リゴンドウ」の名を挙げた思いの中にある 【写真は共同】
同階級で最強の称号を得ているWBA・WBO統一王者への思いは、その問いへの明確な回答でもある。
“調整試合”の意義
初回、長谷川がプレスをかけながら鋭いワンツーをのばすと会場はどよめくが、ウィラポン・ソーチャンドラシットも右を強く振ってくる。長谷川はボディワークでその右をはずしていたが、ラウンド終盤に顔面をかすめるように被弾、右目の周囲を少し赤くする。
2ラウンドも長谷川の動きは固かったが、試合は3ラウンドに終わる。
距離をつめた長谷川が強引に左の連打で攻め込み、ボディから左フックを叩き込んで最初のダウンを奪う。立ち上がったタイ人にさらに左を連打してダウンを追加、最後はロープ際でラッシュをしかけ、レフリーストップを呼び込んだ。
日本人ボクサー歴代2位となる10度の王座防衛を重ねたバンタム級時代は繊細な攻防から繰り出すカウンターが真骨頂だったが、フェザー級にあげて以降は好戦的なファイトが多く、被弾するシーンが増えた。今回のジムワークでは接近戦でのコンビネーションやカウンターの練習を積んだというが、長谷川自身が「早く終わらせると練習の成果が出せない。でも、だらだらラウンドを重ねたらお客さんに満足してもらえないだろうという思いもあった」と振り返ったように、足さばきやカウンターの精度を見極めるには、全体的に雑で大味な印象は否めなかった。