長州力「リングをなめたことはないですよ」=3.31奉納プロレス直前インタビュー

長谷川亮

「靖国神社で試合をするのはいい経験」

3月31日の奉納プロレスに初参戦する長州(写真左から2人目)。大谷(写真真ん中)、田中(写真左)と組んで、曙(写真右から2人目)、ジェームス・ライディーン(写真右)、ゼウス組と対戦する 【t.SAKUMA/佐藤崇】

――今回で恒例となったZERO1春の靖国大会が、記念の10回目を迎えます。通常の場合とだいぶ異なるシチュエーションでの試合となりますが、いかがでしょうか?

 初めてなんですよね。神聖な場所だけど、僕はどこの会場に上がっても基本的には一緒。変わらない。ただ、この靖国神社の相撲場ってのは、聞いたら、格闘技が一番最初に行われた会場なんですって。そういう場所で、プロレスをできるってのは、自分にとってはまたいい経験になるのは事実ですよね。

――場所によって左右されることはない?

 ないですね。でも、靖国大会は続いてるからいいことですよね。こうやって10年継続してくるのは大変だったと思うし。大谷も、ZERO1もよく頑張ってるなと思います。

――各地でいじめ撲滅をアピールしたり様々な活動をしているZERO1ですが、長州さんが“プロレスの力”ということで、プロレスを通じてアピールしたいこと、訴えたいことというのはありますか?

 いや、ない。見る側がどういう具合に見るかっていうことに、僕からそれを見せようとかそういうのはないです。全くない。それは見る側の問題。大谷には大谷のやり方があるし、アイツがそれを「プロレスの力」と言うんであれば、それはアイツがプロレスラーの本質を理解してるって証拠ですよ。もともとプロレスが好きでたまんない人間ですからね。あいつの正直なプロレスがZERO1の継続であったり、この靖国神社さんとの信頼だと思いますよ。子供に対しても、「イジメ撲滅」って、アイツがタイガーマスクで育ったんだから、それを継いでるんでしょう。本当に、プロレスにバカ正直なヤツですよ。人間が温ったかい。

――リングに上がる際に思ったり考えたりしていることというのは?

 ない、全く。何もないですよ。

――では、しっかりするべき準備をしてリングに上がるだけだと。

 そう。あとはちゃんとリングを降りてきたいよね、事故なく。

――今回はメーンで大谷晋二郎、田中将斗とタッグを組んで、曙、ジェームス・ライディーン、ゼウス組と対戦することになりました。

 相手に横綱(曙)が入ってるんですよね? 久しぶりですね、横綱とやったり組んだりするっていうのは。

――曙選手と久しぶりに対峙することにはどうですか?

 いや、変わらないです。そんなに極端に慌てることはないんじゃないかなと思います。ただ、楽しみ。本当に楽しみ。

――もう対戦相手や場所で動じたりすることっていうのは……

 ないですね。特に場所でどうっていうのはないです。昔の忙しい時は年間260ぐらいやってるんだから、場所がどうのこうのっていうのはないですよ。それが今は年間多くても20ぐらい、30を超えることはないですから、今は僕はちょうどいいです。ただ、今回は、10回の記念大会でしょ。せっかく声をかけてくれた大谷に、「呼んで良かった!」って。「なんで長州なの?」って思われたら、大谷の顔を見れないからね。

「お客がワーって笑ったら辞めますね」

10回目となる奉納プロレスに出場する長州は「一生懸命なリングで一生懸命頑張る」と抱負を語ってくれた 【スポーツナビ】

――今は落ち着いた心持ちでリングに上がっている?

 落ち着いたっていうことはないけど、やることはやって上がるっていう、それだけですよね。

――若い選手、下の世代に伝えていきたいことというのは?

 ない、全くない。伝えて伝わるものでもないし。現に、大谷だって、しっかり自分のものになってるでしょ。

――では、何か伝えるというより、長州力は長州力としてリングに上がり続けるというか?

 そうですよね。

――それでいつゴールになるかも分からないと。

 ゴールなんて僕は簡単ですよ。試合をやっててお客がワーって笑ったら、僕はその場でリングを降ります。笑いが起きるような会場ではやらないです。僕の試合でそういう状況になったら、僕はたぶん辞めますね。リングを降ります。そういう状況になったらもう靴をぶん投げて(笑)。

――長州さんの試合で笑いが起こるというのも考えづらいので、ずっと現役続行になるのではないですか?

 いや、でも現実問題いつかは一線も二線も三線も引いて行って。もう1回引退している訳だから、全然こだわりはないですよ。ただリングに上がってる限りはやるべきことをやって、観てほしいっていうのはありますよね。

――どうでしょう、靖国大会に期待しているファンにメッセージや最後に一言お願いします。

 10回記念ということでね。呼んでもらえましたけど、本当に大谷もZERO1も一生懸命ですよ。その一生懸命さにファンがついてきてる。「どうしても10回記念大会には長州さんに出てもらいたかったんです。」ってあらためて、大谷に言われた時、いろいろな事を考えましたよね。だから、この一生懸命なリングで、一生懸命頑張ります。

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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