日本に「勝ちたい」――陽岱鋼、静かに燃える特別な一戦=WBC台湾代表の躍進を支えるキーマン
WBC初の2次ラウンド進出の原動力
大会前から目標に挙げていた「東京で日本と対戦」が早速実現。陽岱鋼は前日の7日、「勝ちたい」と意気込みを語った 【Getty Images】
所属球団である北海道日本ハムファイターズでのポジション争いを優先するため、前回のWBCは辞退した陽。2011年シーズンからは完全にレギュラーメンバーとして定着したこともあって、今大会では、06年インターコンチネンタル杯以来の代表ユニホームに袖を通した。兄の陽耀勲(福岡ソフトバンク)と同じユニホームを着ているのも、また特別なこととなっているようだ。
初めて代表に選ばれたわけではない陽だが、19歳だった7年前とは違う。1次ラウンドでは主力としてチームをけん引。12打数4安打4打点と活躍した。2戦目のオランダ戦では、6回に試合を決定付ける貴重な2点本塁打を放ち、走塁面でも持ち味の快走を披露している。WBCで初めて2次ラウンド進出の原動力となった陽は、B組のMVPに選出された。
「(日本に)勝ってないから、勝ちたい気持ちは強い」
地元の台中ラウンドでの球場の雰囲気を聞かれた陽は、7日の全体練習後そう答えた。
大会前から日本ラウンドに勝ち上がり、ファイターズでのチームメートである稲葉篤紀や中田翔がいる日本代表チームと対戦することが目標だと言っていた陽。8日、同ラウンドの初日に早速それが実現する。
ただ、陽に気負いはないようだ。これまでWBCでチャイニーズタイペイが日本に勝利したことはないが、8日の対戦でより重圧があるのは日本の方だと冷静に分析する。
「日本は連覇をしなければならないから、プレッシャーがあると思いますよ。僕らには自信もあるし、(日本に)勝ってないから、勝ちたい気持ちは強いですからね。モチベーションもより高まってきています」
国を代表して戦うということはおそらくどの選手にとっても特別なこと。それは陽にとっても例外ではない。「国に貢献できるというチャンスはなかなかないことだし、嬉しいです」。彼は真面目な顔で話す。
必然的に上がる陽の評判、メジャースカウトの注目集まる
そういったメジャーのスカウトたちへのアピールにもなるのでは、と問われた陽は「いや、それはまったくないですね。国際大会にいるだけで幸せですから。アピールする必要なんてまったくないですよ」と返した。だが、彼が望む、望まないは関係なく、能力を発揮すればより多くの注目が集まるのは必然だ。
昨季はファイターズのリードオフマンとして全144試合に出場し、打率2割8分7厘、7本塁打、55打点を記録し、ゴールデングラブ賞も受賞。初めて出場したオールスターゲームでMVPに選出され、日本のプロ野球でも急成長を見せている陽だが、WBCを通して世界的な注目を浴びるようになるかもしれない。
<了>
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