日本人ブンデスリーガーの貢献度を測る=ドイツ人記者が分析する今後の活躍指数
乾はチームの鍵
現在まで5得点を挙げている乾はまぎれもなく中心選手。チームの躍進に大きく貢献している 【Bongarts/Getty Images】
1位 乾貴士(フランクフルト)
現状での満足度:95点
今後ドイツで活躍できる確率:100パーセント
フランクフルトは、来季のチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得を争うなど今季のブンデスリーガのサプライズとなった。その躍進に大きく貢献したのが、2012年の夏に2部のボーフムからやって来た乾貴士である。5得点6アシストを記録して、アルミン・フェー監督の信頼を勝ち取った。乾はインタビューで「コンディションがベストではないときでも、先発で使ってもらえたことは大きかった」と話している。3月1日には守備でも奮闘したが、メンヘングラッドバッハを止めることはできなかったが、指揮官は乾に出場機会を与え、すぐさまの成長を目にしてきた。チームの鍵であることは間違いなく、来季は欧州の舞台でプレーする可能性もあるのだ。
2位 酒井高徳(シュツットガルト)
現状での満足度:90点
今後ドイツで活躍できる確率:100パーセント
昨季のシュツットガルトを思い出すとき、酒井高の名は欠かせない。精力的な上下動で知られるサイドバックは、スピードを伴ったプレーの中でボールを勝ち取り、攻撃のアクションを創出する。だからこそ、契約延長を手にできたのだ。クラブのフレディ・ボビッチSD(スポーツディレクター)は、「今季の彼は成長の跡を示した」と喜んでいる。だが、昨季は残せたアシストを、今季はまだ記録できていない。昨年、ドイツでの初シーズンですでに自身のプレースタイルを印象づけており、彼がメンバーから外れるのは出場停止の場合のみである。重要性を増す今後のゲームではなおさらだろう。
3位 清武弘嗣(ニュルンベルク)
現状での満足度:80点
今後ドイツで活躍できる確率:90パーセント
清武は、ブンデスリーガで攻撃的な選手として乾に次いで最も危険な日本人選手だ。ミヒャエル・ヴィージンガー新監督の下、初陣ではベンチを強いられたが、すぐ先発に復帰した。だが、自身で目標に掲げた「10得点10アシスト」にはまだ遠く、特に得点力は改善の余地が大きい。セットプレーは武器の一つだが、支配力を増しもっとアクションを増やす必要がある。バーダーSDは金崎加入後の清武の成長を強調するが、それを証明するには至っていない。ニュルンベルクの鍵となる選手に成長するだけの能力はあるのだから、日々の練習での成長と、弱点克服が必要だ。
微妙な立場である3人
ユーティリティー性が高く、クラブからの信頼も厚い長谷部だが、ポジション争いの激化もあり、確固たる立場を築くまでには至っていない 【Bongarts/Getty Images】
現状での満足度:80点
今後ドイツで活躍できる確率:50パーセント
ドイツで6年目のシーズンを過ごす長谷部は、ボルフスブルクとブンデスリーガの一部となっている。チームで最もユーティリティー性が高く、中盤の守備的な位置や攻撃的な役割、さらには最終ラインもこなすことができる。フィジカルも強く、広い視野とボール保持力の高さも備える選手だ。イングランドへの移籍がかなわなかった後、ベンチに座ることを余儀なくされたが、ここ数週間はドイツカップのオッフェンバッハ戦で先制点をアシストするなど調子の良さを披露している。チーム内での競争は激しく、良いパフォーマンスを見せ続けることによって、長谷部はレギュラーポジションを取り戻す道を見いだせるだろう。クラブは彼の信頼性を熟知しているが、契約は14年で満了となるため、来季がドイツでの最後のシーズンとなる可能性もある。
5位 内田篤人(シャルケ04)
現状での満足度:70点
今後ドイツで活躍できる確率:85パーセント
先週末は、内田とシャルケにとって愉快なものではなかった。チームは厳しい時期に差し掛かっており、自分たちのスタイルを再び見直しているところだ。現在の内田は肉離れに悩まされ、チームを助けることができないが、チームメートたちはCLのガラタサライ戦でのドローと、リーグ戦の2つの勝利で、トンネルの先の光明を見いだした。代役となったマルコ・ヘーガーは、非常に良いパフォーマンスを披露し、内田の前には長い道のりが待っている。今は我慢が必要で、負傷前の調子を取り戻さなければならない。ただし、ジェフェルソン・ファルファンとの連係の素晴らしさはご存じのとおりである。
6位 岡崎慎司(シュツットガルト)
現状での満足度:65点
今後ドイツで活躍できる確率:80パーセント
岡崎は自分の本当のプレーを今季はまだ出せていない。現在はジョーカーという立ち位置に甘んじており、先発した際にもチャンスをものにできていない。今季のリーグ戦でも1得点と結果が振るわず、日本代表のようにゴール前で危険な存在になれたのはヨーロッパリーグのステアウア・ブカレスト戦のみ。日本をよく知るギド・ブッフバルトの目に、岡崎は「楽しくて、わんぱく」な選手として映っており、それこそが岡崎が取り戻さねばならない姿だ。継続性を示すことができなければ、ジョーカーの役割から抜け出すことはできない。