日本人ブンデスリーガーの貢献度を測る=ドイツ人記者が分析する今後の活躍指数

ポテンシャルは示すも改善点は多く

チームの不振に巻き込まれる形で本領を発揮できていない宇佐美。改善すべき点は多い 【Bongarts/Getty Images】

7位 宇佐美貴史
現状での満足度:60点
今後ドイツで活躍できる確率:50パーセント

 バイエルン・ミュンヘンでの計画は失敗に終わり、今季の宇佐美はホッフェンハイムでの新たなスタートという道を選んだ。だが、クラブは降格への道をたどっており「ブンデスリーガでプレーする」という計画そのものが頓挫しかかっている。この攻撃的MFは先発の位置に座り、クラブでは「ましな選手」ではあるが、チームの残留の主柱になるには得点力と好機の創出という点においてもっと多くのものを出す必要がある。マルコ・クルス監督はドリブルなどを高く評価しているが、守備面と攻から守への切り替えにおいて改善すべき点は多い。ドイツで活躍するだけの力はあるものの、降格したならばドイツ以外に新天地を求めることになるだろう。

8位 酒井宏樹(ハノーファー96)
現状での満足度:40点
今後ドイツで活躍できる確率:99パーセント

 ハノーファーでのブンデス初シーズンは、光の中よりも影にいる時間の方が長い。22歳の酒井宏は前半戦に出場したメンヘングラッドバッハとフライブルク戦ではひどいパフォーマンスを露呈してしまったが、後半戦のニュルンベルク戦では自分は使えるというところを示した。特に勤勉さと攻撃面のプレーはポジティブな要素だが、守備での体を張ったプレーに問題がある。精神的な問題にも対処する必要があるが、移籍直後よりはリラックスしているように見え、キャプテンのスティーブン・チェルンドロのバックアップを務めるだけの力はあると示してはいる。可もなく不可もない状況だが、来季もドイツでプレーすることは確実だ。

9位 細貝萌(レバークーゼン)
現状での満足度:35点
今後ドイツで活躍できる確率:70パーセント

 ドイツでは3週間前、「細貝はチームでのポジションを失うことを恐れている」とする記事が出た。細貝は9試合に先発した時期があったが、ここ数週は出場さえなかったのだ。昨季は先発の位置をつかんでいたが、それも期限付きで移籍したアウクスブルクでのこと。本来のポジションであるボランチの候補は多く、それはサイドバックでも同様だ。細貝はレバークーゼンでは幸せをつかめず、将来的には期限付き、もしくは完全移籍が彼を待っているのではないだろうか。再びレギュラーになれば、満足度70点をつけるだけのポテンシャルがあるため、クラブを変えればまだやれるはず。彼に興味を持つクラブもまた、ドイツには数多くあるのだ。

貢献はなくとも実力は十分

出場時間は限られている大前だが、クラブからの期待は高い。ブレイクは来季か 【Bongarts/Getty Images】

10位 金崎夢生(ニュルンベルク)
現状での満足度:―
今後ドイツで活躍出来る確率:70パーセント

 デビューを飾ったハノーファー戦後から期待は高く、シュツットガルト戦での初先発を経て、ニュルンベルクでの金崎への期待はさらに高まった。マルティン・バーダーSDは比較的早く戦力になるとの考えを示したが、それを証明するのはこれからだ。まずは自分のストロングポイントを出すことに集中し、一歩ずつ進んでいく必要がある。日々のハードワークと忍耐力が必要ではあるが、ドイツのサッカーに慣れれば力を伸ばすことだろう。今冬の移籍直後で満足度を測るには早すぎる感もあるが、このリーグで戦えるだけのポテンシャルは示した。

ランキング外 大前元紀(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)
現状での満足度:―
今後ドイツで活躍できる確率:―

 フォルトゥナのSDであるヴォルフ・ヴェルナーはインタビューで、大前は来季も見越しての補強であると説いた。小柄ながらもスピード溢れるウインガーのこれまでの出場時間は、45分ハーフにも満たない43分間と判定材料に乏しい。ブンデスリーガを驚かすことはできるだろうが、まずは忍耐強くプレーのテンポなどドイツサッカーを学ぶ必要があるため、ブレイクするのは来季になるだろうか。

 このように、11人の中でチームの核となっているのは、乾、酒井高、清武と自身の立場を確立している3選手だけであり、彼らはドイツの速さと強さにもしっかり慣れている。

 ドイツに来る日本人選手のプレーは全体的に好印象で、華麗さとスピードを持ち合わせている。さらには金崎や岡崎らのように守備面での貢献を強調する監督は多い。酒井宏や大前など、ドイツに慣れる時間が必要な選手もいるが、クラブは日本に特別な関心を抱き続けている。今後、さらに多くの選手が日本からドイツへやって来る可能性は高そうだ。そうした動きはブンデスリーガにとって良いことでしかないのだから。

<了>

(翻訳:杉山孝)

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著者プロフィール

1978年生まれ。20年以上にわたり、ルール地方のサッカークラブに焦点を当て、ブンデスリーガの取材を続ける。09年からは「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)で記者を務める。ツイッターアカウントは@ruhrpoet。自身のサイトはwww.david-nienhaus.de。

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