男子・豊川、女子・立命館宇治がV 勝利の陰に異なるドラマ=全国高校駅伝
高校駅伝・男子は、豊川が初出場初優勝を達成 【写真は共同】
豊川が初V 転入生がチームの意識を変えた
転入にはさまざまな意見があったが、チームは早くから目標を駅伝に絞って結束。夏休みの40日間合宿など、1日も休まずにトレーニングを重ねてきた。「学校の協力もあって(転入生の)彼らと一緒に集中できる環境が整い、元々うちにいた選手もやる気になってくれました」と森安彦監督は話す。
従来メンバーの一人である7区の皆浦巧(2年)は「強い先輩たちに刺激を受けました」と言い、脚を痛めたために出番がなかった主将の鈴木悠日(3年)も「転入生が来て、優勝を意識するチームになれました」とチームの変化と成長を実感していた。転入生が巻き起こした相乗効果が快進撃へとつながった。
レースでは服部が1区を任された。勝負どころを見逃さず、スパート勝負に応じて、先頭と1秒差の区間2位。たすきは流れに乗り、ライバルと見られた西脇工(兵庫)より19秒先に3区の留学生カレミ・ズク(3年)へと渡った。ズクの快足で3区を終えて、豊川のリードは1分以上。続く4区・一色の区間賞が栄冠を決定づけた。
終わってみれば、後手に回った2位西脇工に1分51秒差の完勝。転入を取り巻く様々な反響の渦中にあった服部は「みんなが真剣に練習に取り組んだ結果です。このチームで走れて良かったなと思います。本当に楽しかった」。屈託のない言葉に確かな成長が見て取れた。
新しい環境に飛び込み、短期間で結果を出すのは容易ではない。しかし、転入組も受け入れ組も、「あの都大路で思い切り走りたい」という一心に支えられた。仲間に恵まれ、目標を追いかける。ぶれない気持ちでたどり着いた頂点だった。