大山加奈が群雄割拠のVリーグを大胆予想=2012-13シーズン展望<男子編>
元日本代表の大山加奈さんが銅メダルに沸いた五輪後のVリーグについて、展望を語ってくれた 【スポーツナビ】
Vリーグ開幕に向けてスポーツナビでは、元日本代表の大山加奈さんに見どころ、注目チームや選手、バレーボール観戦のいろはなど、多岐に渡りお話をうかがった。
リーグを引っ張る存在パナソニック
昨季MVPのパナソニック・福澤(左)と3季ぶりにサントリーに復帰した越川。このエース同士の対決は必見だ 【スポーツナビ】
やはり今年も軸となり、リーグを引っ張る存在になるのは昨季の覇者、パナソニックではないでしょうか。全日本でもエースとして活躍する清水邦弘、福澤達哉がそろう攻撃陣は、ほかのチームにとっては脅威であるはずです。
2人にとっても、全日本の中心として活躍しながらロンドン五輪に出られなかった悔しさ、ワールドリーグ予選で負けた悔しさはきっと簡単に消えるものではないでしょう。ロンドン五輪が終わった今年は、リオデジャネイロ五輪に向けたスタートの年でもあります。4年後に向けて、このリーグから新たな一歩を踏み出してほしいと願っています。
清水、福澤だけでなく、パナソニックのメンバーを見るとセッターの宇佐美大輔、リベロの永野健、オポジットの山本隆弘など、全日本に選出され、主軸として活躍する選手がそろっています。当事者の立場からすれば、目の前の1試合1試合を戦うことで精一杯なので、全日本選手を多く擁したチームであろうとさほど気にならないものですが、見ている方からすれば「これだけ代表組がいるなら、勝って当然だろう」と思うかもしれません。しかし、メンバーが変わらないからこそ、新たな刺激が加わらず、気づかぬうちに守りに入ってしまうこともあります。
特に勝った翌年は難しい。去年はパナソニックがVプレミアリーグに加えて、天皇杯、黒鷲旗とタイトルを総なめにし、三冠を達成しています。そのため、今季は全チームが「打倒パナソニック」を打ち出して向かってきます。その状態で、どこまでモチベーションを高めて戦うことができるかが、連覇に向けたカギになるのではないでしょうか。
昨季の覇者に次ぐ2大勢力
まず1つ目は、昨季はレギュラーラウンドで1位となりながら、ファイナルラウンドにパナソニックに敗れた東レ。小林敦監督が今季から就任し、全日本でも攻守の要として活躍する米山裕太がキャプテンとなり、新体制がスタートしました。
今季で5年目を迎えたボヨビッチ・デヤンの攻撃力や、コートに立つだけで存在感を発揮する篠田歩、日本随一のブロック力を誇る富松崇彰など、まさに東レの顔と言うべきたちは今年も健在です。ただ、昨季までチームの中心としてけん引してきた阿部裕太がサントリーへ移籍し、越谷章、勝野裕士は引退。今田祐介、角田辰徳などベテラン選手の安定感があるとはいえ、元気な若手が出てきて、チームを鼓舞してくれないと去年のような成績を残すのはやや厳しいかもしれません。去年のセミファイナルでファイナル進出に貢献する活躍をした4年目の鈴木悠二の爆発力に、期待したいですね。
そしてもう1チームが、今季からイタリア人のパオロ・モンタニャーニ監督が就任したサントリーです。あくまで私の主観ですが、外国人監督は選手の個性を生かして、型にはめず大きく伸ばしてくれる印象が強くあります。もともとサントリーは山村宏太、鈴木寛史と高さのあるミドルブロッカーがいて、サーブレシーブに安定感のある金子隆行など、戦力がそろったチームです。
さらに今季はセッターの阿部が加入し、スピード感のあるバレーが展開されるかもしれない。それだけでも十分に楽しみなのですが、今季から3年ぶりに古巣へ復帰した、越川優にも注目しています。残念ながらロンドン五輪の最終予選には選ばれなかった越川ですが、勝負強さと、強烈なサーブは日本トップクラスであるのは周知の通り。チームに勝利を引き寄せる越川の活躍が、今からとても楽しみです。