データの変化に見る2012年版イチローの打撃スタイル

木本大志

打順や打撃フォームだけでなく、選球眼や打球傾向に変化が見られる今年のイチロー 【写真は共同】

 今年から練習が始まった段階でクラブハウスはクローズとなり、取材ができなくなった。従って、ホームチームの取材をする場合は、午後7時10分の試合開始だとしたら、午後3時40分ぐらいからの30分程度に限られる。

 これまで、その時間にイチローの姿を見かけることは少なかったが、今年は比較的ロッカーにいることが多い。やはり隣りに川崎宗則がいるからだろうか、クラブハウスで過ごす時間が例年より長いようだ。

大きく向上したイチローの選球眼

 イチローに関して、それ以上に大きな変化と言えば、打順が3番に変更になったことと打撃フォームが変わったことだが、その影響なのか、いくつかのデータに例年との違いが見られる。

 今回はそれらの数字を拾っていきたいが、例えば、選球眼。ここには特に顕著な差が出ている。

 昨季、イチローがボール球を振る確率は、「fangraphs.com」のデータによれば36.1%だった。2010年は35.6%、2009年は32.1%。傾向として徐々に彼の中のストライクゾーンが広がっている様子がうかがえたが、今年はなんと、4月17日の試合を終えた段階で18.6%だった。

 23日の段階では25.0%なのでやや上がっているが、それでも昨年までと比べれば、10%以上も下がっている。

 その点に関して、より詳細なデータを持っているクリス・チャンブリス打撃コーチにも確認すれば、「昨年に比べれば、選球に対する意識が変わっている」と話し、「大きな変化だ」とうなずいた。

 新しい役割がそうさせているのか、新しいフォームが選球をしやすくしているのか、具体的な関連性を論じるには、まだサンプル数が少ないが、併せて打球の傾向にも変化が見られることは興味深い。

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