ブロック・レスナーは格闘技ファンの記憶に残り続ける=UFC

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UFCで一度も格下の相手と闘わなかった

08年11月にクートゥアを破り、プロデビューからわずか4戦目でUFCの頂点に立った 【Zuffa LLC via Getty Images】

 試合後、レスナーはすぐにUFCへの参戦意思を表明し、UFC代表のダナ・ホワイトと会うことになる。
「ブロック・レスナーとの1度目の話し合いで、彼がUFCで闘ってくれるという確信を得た」とダナは言う。「レスナーはそれまで別団体で闘っていた。そして、ちゃちなところで闘うとどんな気持ちになるか気が付いたのだろう。優れたファイターがUFCで闘いたがるのは、そこが相応しい場所だからだ。UFCは最もプロフェッショナルだし、世界中から最高のファイターが集まっている。もしも彼らが名を上げたり功績を残したいのなら、UFCが唯一の場所なんだ」

 レスナーは、噛ませ犬との簡単な試合はしたくないとダナに主張し、トップファイターとのマッチアップを強く望んだ。ダナはそれに応じた。レスナーはUFCで、一度も格下の相手と闘っていない。デビュー戦は2008年2月開催の『UFC81』。相手は前UFCヘビー級王者、フランク・ミアだ。

 レスナーは試合開始とともに猛攻を仕掛け、ミアをKO寸前まで追い詰めたが、1R90秒、腕十字固めを極められ逆転負けを喫することになる。しかしその後、ヒース・ヒーリング、ランディー・クートゥアに勝利し、プロ格闘家としてのデビューから僅か4戦で、世界ヘビー級王者に輝く。

大病、大手術を乗り越えてのカムバック

大病を乗り越え一昨年7月のカーウィン戦は大逆転勝利、劇的な復活をアピールした一戦だった 【Zuffa LLC via Getty Images】

 2009年7月開催の『UFC100』では、デビュー戦で黒星を喫したフランク・ミアを相手に2RTKO勝利でリベンジを果たしたレスナー。しかし、その後の2大会は体調不良で立て続けに欠場することになる。彼のキャリア、ひいては人生を脅かす病、大腸憩室炎にかかったのだ。手術を拒否したレスナーは、闘病生活の末、驚異的な回復力で復活を果たす。復帰1戦目のシェイン・カーウィン戦、1Rでレフェリーストップもやむなしと思えるほどのパンチを浴びたレスナーだったが、2Rで肩固めによる劇的な逆転勝利を収める。今にして思えば、彼のキャリアのなかで最も大きな1勝だったかもしれない。

 カーウィン戦から3カ月後、レスナーはケイン・ヴェラスケスにTKOで敗れ、王座から陥落する。さらに失意のレスナーを追い詰めるようにして、大腸憩室炎が再発。手術を決意したレスナーは、2011年5月、大腸を30cmも切除する大手術を決行。それから僅か半年余りで、再び闘いの場を病床からオクタゴンへと移し、アリスター・オーフレイム戦を迎えたのだった。

 UFC通算5勝3敗。
 レスナーが総合格闘技界に残した衝撃は決して戦績では計ることができない。そして、オクタゴンに上がるために、彼が乗り越えなければいけなかった試練も、本当の意味では誰にも理解することができない。リング内外でレスナーは闘い続けた。言うまでもなく、ブロック・レスナーは格闘技ファンの記憶に残り続けるだろう。ブーイングを浴びせ続けたファン、熱心に応援したファン、彼のファイティングポーズを目撃した全てのファンの記憶から、その姿が消えることはない。

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