コービーからの貴重なメッセージ

山脇明子

3連覇に黄信号?

 今季3連覇の期待がかかるNBA(米プロバスケットボール協会)のロサンゼルス・レーカーズが、思わぬ不調に陥っている。
 開幕スタートは8連勝と、さすがと思わせる戦いぶりを見せていた。だが、成績を13勝2敗まで延ばしたあと4連敗。4試合連続の敗退は、スポーツ界ではそれほど珍しいことではないが、レーカーズにとっては2007年4月以来という一大事なのである。しかも、敗れた相手が今季好調のジャズを除くと、どこも強敵とは言えない相手だった。

 その後の9試合で8勝と立ち直ったように見えた。だが、12月21日(現地時間)に主力3選手を欠いたバックスに19点差で敗れると、クリスマスに行われた今季最も注目のカード、ヒート戦では16点差負け。シュートが全然決まらず、相手の“ダイナミック・トリオ”、レブロン・ジェームズとドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュにすっかりやられてしまうお粗末さだった。しかも、その2試合はホームで行われた試合であり、バックスはそれまで10勝16敗のチームだった。
 これらの試合で共通して言えることは、選手に覇気が見られず、開幕8連勝していた時のようなチームとしての団結力が見られないこと。ヒート戦の後、レーカーズのフィル・ジャクソン監督が指摘していたように、個々のプレーで何とかしようという精神が選手に見られたことだ。

「勝負を軽く見ると大きなツケが回ってくる」

 現在2連覇中のレーカーズの選手は、チームプレーが勝利をもたらすことを十分承知している。それでもそれができずに敗戦するところが、長いシーズンを戦う難しさであり、精神面とフィジカル面での調和を合わせることの困難な点である。
 いくら強いチームでも、シーズン中にはそれらがかみ合わない時期はあるだろうし、それを乗り越えて力をつけていくものだ。それゆえに、レーカーズがこのような不調に陥ろうとも、優勝候補であることに揺るぎはないのである。

 ただ、すでに5度の優勝を経験しているエースのコービー・ブライアントは言う。「後半戦に入ると、試合はますます厳しくなってくる。そして3連覇することは、それに輪をかけて難しいこと。だから3連覇はそう簡単に達成されるものではないのだ」と。さらにブライアントは「1試合、1試合、これが最後というつもりでプレーしなければならない」とも言った。
 戦力もそろい、経験も豊富なレーカーズには、ちょっとした不調ぐらい大した問題ではないように見える。だが、勝負を軽く見ると大きなツケが回ってくる。まだシーズンは中盤にも差し掛かっていないが、ブライアントは貴重なメッセージをチームメートに送っている気がする。

<了>
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著者プロフィール

ロサンゼルス在住。同志社女子大学在学中、同志社大学野球部マネージャー、関西学生野球連盟委員を務める。卒業後フリーアナウンサーとしてABCラジオの「甲子園ハイライト」キャスター、テレビ大阪でサッカー天皇杯のレポーター、奈良ケーブルテレビでバスケットの中体連と高体連の実況などを勤め、1995年に渡米。現在は通信社の通信員としてMLB、NBAを中心に取材をしている。ロサンゼルスで日本語講師、マナー講師、アナウンサー養成講師も務めている。

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