グリフィン効果で盛り上がるクリッパーズ

山脇明子

全米が注目するルーキー

 米プロバスケットボール協会(NBA)の弱小チームとして知られるロサンゼルス・クリッパーズに明るい兆しが見え始めている。18試合を終えた成績は3勝15敗とNBA最低だが、クリッパーズの試合はNBAファンから大きな注目を集めている。
 その理由は、ルーキーのブレイク・グリフィン。昨年のドラフトでクリッパーズから全体1位指名を受けた選手だ。だが、オープン戦の最終試合で左ひざを故障し、そのままシーズンを棒に振ってしまった。

 そして1年遅れのルーキーシーズンを開幕させた今季、昨季の我慢を爆発させるかのような素晴らしいプレーを見せている。
 グリフィンの長所はずば抜けた運動能力。特に跳躍力においては「人間が自然に飛べる域を超えているのでは?」と思わせるほどで、まるでトランポリンを使って飛んでいるかのようなジャンプで迫力あるダンクをたたき込む。ダンクというのは見ているものにとっては楽しい。しかし、する者にとってはすごいエネルギーを消耗する。だが、21歳のグリフィンは、ありあまるエネルギーでダンクを連発してしまうのだ。

ジェームズやオニールも絶賛

 先週の木曜日は米国の大きな祝日、サンクスギビングデー(感謝祭の日)であった。この日、NBAは2試合を全米放送し、そのうちの1試合がクリッパーズの試合であった。いつものごとくパワーを全開させていたグリフィンを見て、ヒートのスーパースター、レブロン・ジェームズが「ブレイク・グリフィンはリーグで最も爆発力のある選手。考えられないほどの跳躍力だ!」とツイート。また現セルティックスのシャキール・オニールは「ブレイク・グリフィンはおれにとってはリーグトップのパワーフォワード」と自らのチームにケビン・ガーネットという名パワーフォワードがいるにもかかわらずツイートした。

「ダンクはただのショーにすぎない」と思う人もいるかも知れない。しかしダンクは大男たちが立ちはだかるゴール下において有効な得点方法だ。しかも見ている観客と同じく、プレーしている選手にとっても、高能力のダンクを見せつけられると精神的に大きく影響するもので、チームのムードを高める効果がある。

 前述の通り、その割にクリッパーズの成績は悪い。だが、グリフィンのみならず、若く才能のある選手がそろうクリッパーズは、将来が楽しみなチームと評価を上げつつあるのだ。
 これまでは、弱小チームを我慢強く応援してきたクリッパーズファンにとっても、今季はクリッパーズの試合を見たことを自慢できる機会が増えた。選手も、昨季までとは違う期待を十分に感じているはず。グリフィン効果で盛り上がるクリッパーズが、今度こそ向上し続け「弱小球団」から脱皮することを願っている。

<了>
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著者プロフィール

ロサンゼルス在住。同志社女子大学在学中、同志社大学野球部マネージャー、関西学生野球連盟委員を務める。卒業後フリーアナウンサーとしてABCラジオの「甲子園ハイライト」キャスター、テレビ大阪でサッカー天皇杯のレポーター、奈良ケーブルテレビでバスケットの中体連と高体連の実況などを勤め、1995年に渡米。現在は通信社の通信員としてMLB、NBAを中心に取材をしている。ロサンゼルスで日本語講師、マナー講師、アナウンサー養成講師も務めている。

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