パドレス失速で三つどもえの戦いへ=ナショナルリーグ西地区、優勝の行方は?
攻守でチームを引っ張るジャイアンツのルーキー捕手ポージー 【Getty Images】
A・ゴンザレスが孤軍奮闘のパドレス打線
最下位の予想が圧倒的だったパドレスは、メジャー2年目で14勝(5敗)のマット・ラトスを中心とする若手投手の成長がそのままチーム力を飛躍的にアップさせた。しかし、長年の貧打線は解消されず、10連敗の原因になったのもチーム打率がリーグ13位の打撃陣にあった。そのため、8月25日時点でジャイアンツに「6.5」、ロッキーズに「10.5」のゲーム差が一気に縮んでしまった。
もちろん、球団フロントは手をこまねいていたわけではない。ミゲル・テハダとライアン・ラドウィックといった実績のある打者をトレードで獲得するなどの補強を行った。しかし、なかなか機能しない。その中で孤軍奮闘しているといっていいのが、主砲エイドリアン・ゴンザレスなのだ。打率3割8厘、90打点、ホームランは4年連続30本まで3本。
「自分の役割をしっかり果たすこと」と、寡黙な選手として知られるエイドリアンは言葉少なに語るが、まさにその通りのことをやってのけている。3部門の成績以上に目を奪うのが、メジャートップの4割1分6厘という得点圏打撃だ。
来オフにFA資格を得られることで、トレードのうわさが絶えないが、「周囲の声にまったく惑わされない。素晴らしい集中力を持つ選手」と、バド・ブラック監督は絶賛し、絶大の信頼を寄せる。
新人捕手が引っ張るジャイアンツと終盤強いロッキーズ
ジャイアンツも打線のテコ入れに、レイズを戦力外になったパット・バレルを手始めに、ホセ・ギーエンやコディ・ロスを獲得したが、効果が表れているとは言いがたい。それだけに、ポージーに対する期待度がますます高まっている。
ロッキーズにはカルロス・ゴンザレスがいる。メジャー3年目で大ブレーク。打率3割4分、100打点はともにリーグトップ、32本塁打は3位タイだ。36本塁打でトップのアルバート・プホルス(カージナルス)まで4本差。三冠王の可能性もある猛打ぶりを発揮しているのだ。いまや、フルネームを短縮した『カーゴ』というニックネームもつけられ、コロラド随一の人気選手だ。
「勝とうが負けようが、起きたことはすべて過去のこと。目の前にあることをしっかりやる」と、ベネズエラ出身の24歳は力強く語る。
このカーゴの猛打が大きな起爆剤になって、ロッキーズは9月3日から7連勝をマーク、猛追している。ロッキーズは9月に強く、球団初のリーグ優勝を果たした2007年には最後の15試合で11連勝を含む14勝1敗、ワイルドカードをつかんでいる。また、昨年も9月以降20勝11敗と大きく勝ち越し、ポストシーズン進出を果たしている。
まだ3チームの直接対決は残されており、しかも最後の3試合はパドレスとジャイアンツの対戦が組まれている。優勝争いとともにワイルドカードでのポストシーズン進出が懸かっている三つどもえレース。ドラマチックな幕切れが待っているに違いない。
※チーム成績、個人成績は現地時間9月8日時点のもの
<了>
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