躍進のレッズ、若手台頭で久々のV争いへ=MLB
90年以来の好チームに盛り上がる地元
打撃でチームを引っ張るボット 【Getty Images】
地元記者として1970年代の終わりから地元紙でレッズを取材し、現在は地元テレビ局でコメンテーターも務めるハル・マッコイ記者は、「ワールドシリーズで最後に優勝した90年以来の好チーム。今の調子なら10月まで勝ち残れるだろう」と、太鼓判を押す。
「このチームが強いのは、25人がそれぞれの役割をしっかり果たして、勝つということに一丸となっているからだ」と、ユーティリティープレーヤーとして渋い働きをしているミゲル・カイロが言う。ナイトゲームの翌日、試合開始は12時35分だというのに、カイロは9時に一番乗りで球場入りして準備を整えていた。チームリーダーのスコット・ローレンが右ハムストリングを痛めているため、このところ代役として先発出場が続いている。そして、打率3割を超える活躍で穴を埋めている。このカイロの姿にレッズというチームの勝つ姿勢がうかがえる。
もちろん、打撃3部門でチームトップのジョーイ・ボットの強打を抜きには躍進を語れない。しかし、カイロが言うように25人で戦っているという印象が強いチームだ。セカンドのブランドン・フィリップスとショートのオルランド・カブレラの軽快な守備は投手陣の大いなる助けになっている。併殺プレーは、まさにザ・プロフェッショナル。守備面での向上がみられるボットがファースト、そしてゴールドグラバーのローレンがサードを守る内野陣はリーグ最高といわれるフィラデルフィア・フィリーズにひけをとらない。
好調な割には静かな選手たち
このような激しい競争は結果となってはっきりと現れている。22日終了時点でチーム防御率は4.17と決していいとは言えないが、先発投手陣は6月20日から7月20日まで2.92という素晴らしい防御率を残している。これはホワイトソックスと並ぶメジャートップだ。
「今年のチームの特徴は、若手の伸びでベテランとのバランスがよくなったこと。これほどたくさんの新人が出て、自信を持って使え、しかも戦力になったのはあまり記憶にない」と、ダスティ・ベーカー監督が言うほど、台頭が著しい。リーク、ウッドの投手コンビを始め、クリス・ヘイシーら野手陣合わせて6人もの新人がいるのだ。
だから、なのか。クラブハウスは勢いのあるチームの割には静かだ。新人はおとなしくする、というのがメジャー共通の「書かれざるルール」があるからなのだろうか。この点は90年、ルー・ピネラ監督(現カブス)が率いたチームとは大きく違う。当時は、守護神ロブ・ディブルらブルペン陣に個性的で気性の荒いメンバーがそろい、彼らには“ナスティーボーイズ”というニックネームまで冠せられた。実際、ピネラ監督とディブルはクラブハウスで取っ組み合いの喧嘩(けんか)までやったことがある。
2010年型のブルペンは40歳で初めてオールスターに選ばれたセットアップマンのアーサー・ローズがリーダーだ。クローザーのフランシスコ・コルデロとともに、やはり物静か。90年型とは実に対照的だ。
しかし、本性をむき出しにして戦うのはこれからが本番。レッズの本拠地グレートアメリカン・ボールパークは10月まで真っ赤に染まるだろうか。
<了>
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