投手陣に大記録続出、MLBの前半戦を振り返る
ヒメネスのノーヒットノーランを皮切りに、大記録が続出した 【Getty Images】
完全試合2度は史上初
同一シーズンで完全試合が2度達成されたのは140年を超えるメジャー史上でも初めてのことだ。そして、6月25日にはエドウィン・ジャクソン(ダイヤモンドバックス)が8四球と1死球を与える大荒れの投球ながらノーヒッターを達成。その球数は149球に達し、「私が責任を取る」と続投を認めたA.J.ヒンチ監督はその責任を問われることはなかったが、1週間後には成績不振を理由に解任された。
大記録ラッシュの極めつけストーリーは、6月2日のデトロイトで発生した世紀の大誤審だろう。9回2死、インディアンス相手に大記録目前にしたタイガースのアルマンド・ガララーガは最後の打者になるはずのジェイソン・ドナルドを一、二塁間にゆるいゴロを打たせる。一塁手カブレラが捕球。ベースカバーに入ったガララーガのグラブに送球が収まり、今シーズン3回目の大記録達成と思われた瞬間、一塁塁審の両手は水平に広がる。
タイミングは完全にアウト。しかし猛烈な抗議にも判定は覆ることなく、ガララーガは次打者を打ち取り、ゲームは終了。その後、リプレーで誤審であることを認めたジム・ジョイス審判はガララーガに謝罪、翌日試合前のメンバー交換では両者が握手を交わし、世紀の大誤審は劇的な展開で感動ストーリーに生まれ変わった。
パドレスは躍進、前評判の高かったマリナーズは…
サプライズ続出のシーズン。レース展開ではパドレスの大躍進に誰もが驚いた。シーズン前、ほとんどのアメリカ・メディアが最下位を予想した。オーナーの離婚問題で資金がなく、補強らしい補強をできなかったことが理由だった。ところが、フタを開けてみると、早くも10勝をマークしたマット・ラトスら新鋭投手が一斉に大ブレーク、首位での前半折り返しをほぼ確実なものにしている。
一方、期待を裏切るサプライズはマリナーズだった。クリフ・リーやショーン・フィギンスら投打の大型補強で「常勝エンゼルスを倒して優勝」との呼び声も高かった。しかし、スプリングトレーニングでリーが故障、1カ月出遅れたうえにフィギンスが深刻なスランプ。しかも、不振のケン・グリフィーに試合中の「居眠り疑惑」が発覚(グリフィー本人は疑惑を否定)。そして、突然の引退。問題児ミルトン・ブラッドリーの「試合途中帰宅事件」などもあって、チームはバラバラ。おととしまでの無秩序チームに戻ってしまっては、優勝を争うどころではなくなった。
オールスター明けの15日からは後半戦が始まる。「何が起こるかわからない」本番を迎え、サプライズなシーズンはますます面白くなるに違いない。
<了>
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ