ベールを脱いだ大型新人、ストラスバーグがメジャーデビュー
歴史と記憶に残るメジャーデビュー
21歳の豪腕、ナショナルズのストラスバーグがセンセーショナルなデビューを飾った 【Getty Images Sport】
チェンジアップで93マイル
ドラフト史上最高の投手といわれ、全米1位指名されたうわさの超大物。4年総額1510万ドル(約13億円8千万円)の超破格契約。そして、11回先発したマイナーリーグでの驚異的な成績(55回3分の1を投げ、65奪三振、防御率1.30)。そんな投手がいよいよベールを脱ぐのだから、地元ばかりでなく、全米が注目するのは当然だった。
「初球以外は覚えていない」と、ストラスバーグは試合後に語っているが、『Jsports』で緊急生中継された映像を見る限り、落ち着いたプレートさばきからは、過度な緊張が伝わることはなかった。スポーツ専門局『ESPN』によると、ストラスバーグの投じた94球のうち、34球が98マイル(約158キロ)を超えていた。信じ難いことだが、チェンジアップでさえ93マイル(約150キロ)を計時していたという。
これではメジャー最低のチーム打率を争う、貧打パイレーツが打てるわけはない。4回、デルウィン・ヤングに2ランを打たれはしたが、ストラスバーグは剛速球、パワーカーブ、チェンジアップ、スライダーとすべての球種で三振の山を築いていく。スタンドが大熱狂する中、最後の7連続を含む14個の三振を奪い、しかも無四球で初登板を勝利で飾ったのだ。
伝説の“火の玉投手”も第2戦へ
確かに、その通りかもしれない。この30年、私も大物といわれる新人投手をみてきた。その中でも突出していたと思えるのは新人王とサイ・ヤング賞をダブル受賞した81年のフェルナンド・バレンズエラ(ドジャース)、新人の奪三振記録を作った84年のドワイト・グッデン(メッツ)、初先発から5戦目で20奪三振記録をマークした98年のケリー・ウッド(カブス)の3人だが、ストラスバーグは勝るとも劣らぬ投球をみせ、限りない可能性を感じさせた。
「自分の目で確かめたい。だから13日は球場にいくつもりだ」と、91歳のボブ・フェラーは言う。17歳でデビュー、初めての先発で15三振を奪い、火の玉投手といわれたインディアンスの伝説の大投手だ。
「私の知る中で最高の投手はスピードとコントロールを兼ね備えたウォルター・ジョンソンだが、彼と比べて実際どうなのか見てみたいんだ」
ちなみに、そのジョンソンとは歴代2位の通算417勝をマーク、人間機関車といわれた往年のワシントン・セネターズの怪物投手のことだ。
2度目の登板はどんな結果になるのか。そして火の玉投手はどのような感想を語るのか。ストラスバーグの右腕はますます注目される。
<了>
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