ロンドン五輪への第一歩 日本代表争いに注目=体操・NHK杯見どころ

日本体操協会:遠藤幸一

体操のNHK杯が12日に開幕。5月の全日本選手権を制した内村航平は、今大会で日本代表入りを決めるか!? 【Photo:アフロ】

 6月12、13日の2日間、代々木第一体育館において体操の第49回NHK杯が開催される。慣例化されているが、このNHK杯は国際大会の日本代表決定競技会の位置づけで、今回は、体操JAPAN CUP(7月3〜4日、東京体育館)、第42回世界体操競技選手権大会(10月16〜24日、オランダ・ロッテルダム)、そして第16回アジア競技大会(体操競技は11月13〜17日、中国・広州)の代表決定競技会となっている。とりわけ今年の世界選手権は、翌年の世界選手権(2011年10月6〜16日、東京体育館)の団体総合に出場できる24カ国が決定されることもあり、男女ともロンドン五輪への第一歩が踏み出される重要な大会として最強メンバーを送り込む。

個人総合による代表枠は男子3名、女子4名

 さて、その昔、個人総合の順位によって日本代表は決定していた。団体総合は6名なので、個人総合6位以内に入ることが代表争いにおいて注目され、種目ごとに入れ替わる順位に選手、指導者、関係者は一喜一憂し、手に汗を握っていた。しかし、現在、団体総合は6−5−4制(6名のエントリー選手の中から各種目5名の選手が演技し、その上位4名の得点が団体総合の得点となる制度)であり、団体総合のメダルを決める決勝大会では6−3−3制(6名のエントリー選手の中から各種目3名の選手が演技し、そのすべての得点が団体総合の得点となる制度)が採用される。そのため、個人総合順位で下位の選手でも特定種目別に素晴らしい力を持っていれば、より合理的に得点力のあるチームを作ることが可能となる。このような事情により、最近の代表選考は個人総合と種目別に着目した両面から選ぶ方式が一般的となった。そこで、NHK杯直前の内容として、今回の代表選考方法における注目選手を紹介したい。

 5月に行われた全日本選手権が日本代表第2次選考会を兼ねていたため、その合計得点の半分が今大会の持ち点となっている。もっとも単純な個人総合の順位による代表枠は男子が3名、女子が4名。昨年から落下減点が1.0となった今、持ち点で3位の得点1.0以内に位置する選手を挙げると、男子は内村航平(日体大)、植松鉱治(KONAMI)、山室光史(日体大)、中瀬卓也(徳洲会体操ク)、森赳人(KONAMI)。なお、女子については、年末までに16歳とならない選手を除くため、2位に位置する笹田夏実(大泉スワロー体育ク)らは除かれるが、鶴見虹子(朝日生命体操ク)、田中理恵(日体大大学院)、新竹優子(羽衣国際大)、佐藤亜希穂(朝日生命体操ク)、小沢茂々子(戸田市体操協会)、大島杏子(朝日生命)の名前が挙げられる。上位選手が大過失を出せば、当然、下位の選手にも個人総合による代表入りのチャンスが巡ってくることもあり、まずはここに挙げた選手の動向から目が離せない。なお、今回新たに2次予選の順位をゼッケンで示している。観戦においてその数字を指標にすることをお勧めしたい。

種目別での代表争いにも注目

 一方、残り男子3名、女子2名の代表枠は種目別順位が鍵となる。まず、男女とも予選競技となるすべて(4日間)で種目別1位であることが第一基準にされていることから、すでに5月に行われた2次予選2日間で連続1位をとっている選手と種目を見ると、男子はゆかで内村、あん馬で出口諒財(日体大)と中島立貴(KONAMI)、鉄棒で植松の4名、女子は跳馬の小沢と段違い平行棒の鶴見の2名。それぞれ、NHK杯の2日間においても、当該選手の当該種目で1位を獲得できるかが注目される。特に男子はあん馬が優遇されており、個人総合で8位の出口と22位の中島のあん馬の演技は見逃せない。

 それ以降の基準として、男子は種目別3位以内に与えられるポイント()合計となるため、前述した選手以外を見てみると、2次予選の個人総合は14位だが、つり輪と平行棒で6ポイントを獲得している田中和仁(徳洲会体操ク)、個人総合6位で2ポイントの水鳥寿思(徳洲会体操ク)、個人総合7位で3ポイントの沖口誠(KONAMI)らが注目される。女子は、ほとんど個人総合順位と種目別ポイントが重なっているため、まずは前述した選手以外にポイント獲得選手が出現するのか、NHK杯初日の動きに注目したい。

種目別ポイントは、あん馬以外の各種目で1位に3ポイント、2位に2ポイント、3位に1ポイント与えられる。あん馬は1位に4ポイント、2位に3ポイント、3位に2ポイント。また、女子は段違い平行棒と平均台は1位に3ポイント、2位に2ポイント、3位に1ポイント、跳馬とゆかは1位に5ポイント、2位に3ポイント、3位に1ポイントとなっている

<了>

NHK杯の期間中、スポーツナビ公式ツイッター(@sn_gorin)でライブ実況・解説を行います。大会当日、ぜひお楽しみください。
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著者プロフィール

1961年東京生まれ。日本体操協会常務理事・総務委員長。体操の金メダリストである父親を持つものの、小学、中学はサッカーに明け暮れていた。高校で体操に転身。国際ルールのイラストレーターとして世界中の体操関係者にその名を知られている。

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