大物移籍か!? MLBトレード戦線に異常あり
アストロズ一筋139勝のエースがトレード志願
「優勝を争うチームに行きたい」とトレード志願をしたアストロズのエース・オズワルト 【Getty Images】
ちょっと異常なシーズンと言ってもいいかもしれない。7月31日のトレード期限までたっぷり2カ月もあるというのに、もうトレード話が表面化しているのだ。最初の震源地は開幕から不振を続け、最下位に沈んでいるアストロズ。
エースのロイ・オズワルトがトレード志願をしてしまったのだ。2001年にメジャー昇格を果たして以来、アストロズ一筋で139勝をマーク。自他ともに認める大エースだ。ところが、今シーズンは相手打線を抑えても打線の援護がなく、防御率2.66をマークしながら2勝6敗に甘んじている。それでキレるほど単純ではないと思うのだが、次のように宣言した。「チームとオレ自身のためにもトレードに出してもらいたい。オレは優勝を争うチームに行きたい」
オズワルトは07年に5年総額7300万ドルで契約延長した際、全ての球団に対するトレード拒否権も付帯条件に加えているが、それを破棄するというのだ。アストロズは05年、開幕15勝30敗から猛反攻、ワイルドカードから一気にリーグ優勝へと上り詰めたこともあるが、オズワルトは「そのときと状況が違う」と、首脳陣批判とも取れるギリギリの発言をしている。
候補チームとして挙がっているのは、先発陣が苦しいドジャースとメッツ。しかし、ドジャースはオーナーの離婚問題で多額の慰謝料がかかる見通しで高額選手を抱えきれないという事情があり、メッツも時期尚早ということで様子見状態。スンナリ決まりそうにない。
さらに、オズワルトと口裏を合わせたかのように、チームリーダーのランス・バークマンも同じようにトレード拒否権条項を破棄する用意があると発言している。2人とも勢力地図を塗り替えるほどのインパクトを持つ選手だけに、どの時点で獲得競争が勃発するのか。
マリナーズがリー放出? フィルダー獲得?
マリナーズも震源地になる可能性が十分だ。優勝争いをギブアップすることになれば、1年で契約の切れるクリフ・リーは必要なくなる。昨年のワールドシリーズで大舞台に強いところをみせたこともあり、間違いなく高値で売れる。マイナーに人材のいないマリナーズにとっては絶好のビジネスチャンスになるだろう。
このほかにも、不振が続くダイヤモンドバックス、ブルワーズも早い時期に売り手に転じるかもしれない。ダイヤモンドバックスでは、移籍1年目のエドウィン・ジャクソンの名前が浮上している。また、マリナーズが優勝戦線に踏みとどまった場合は、ジャック・ズレンシックGMがブルワーズ時代にスカウト責任者としてドラフト指名したつながりで、新大砲としてプリンス・フィルダー獲得に動くのではないかとみられている。
この状況なら、例年にも増して早い段階でビッグネームが動くかもしれない。これから中盤にかけてフィールド内外で波乱が起こりそうである。
<了>
※文中の成績は現地時間5月26日時点
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