WAR世界6人タッグ王座復活! 天龍が王座獲りに挑む

天龍プロジェクト

12年半ぶりに復活したWAR6人タッグ王座獲りに天龍(右)が挑戦(左はザ・グレート・カブキ) 【天龍プロジェクト実行委員会】

 5月14日、東京・新宿のBar TIMEで天龍プロジェクトが記者会見を行い、第2弾興行「NEXT REVOLUTION」(6月9日、東京・新宿FACE)の全対戦カードを発表した。

 前回に続き新宿FACEで開催される今大会の目玉は、なんと言ってもWAR世界6人タッグ王座の復活だろう。前回大会の試合後に天龍源一郎がリング上で予告していたが、名称を“天龍プロジェクト認定世界6人タッグ王座”に変えて、いよいよ復活する。
 WAR世界6人タッグ選手権は94年に制定された王座。当時は天龍を擁するWAR正規軍、冬木軍、さらには平成維震軍、UWFインターナショナル勢、ゴールデンカップスなどがこの王座を争い、しのぎを削っていた。天龍、冬木はもちろん、高田伸彦、越中詩郎、高山善廣、アニマル浜口、ボブ・バックランド、バンバン・ビガロなど錚々たるレスラーがベルトを巻いている。
 97年10月に北原光騎&荒谷信孝&ランス・ストーム組を破った北尾光覇&平井伸和&望月成晃組が第15代王者となり、翌年1月、初防衛に成功したものの、その直後にWARの経営悪化が表面化。全選手を解雇し、ワンマッチ契約で興行は続いたが、平井の負傷、そして北尾の引退発表とアクシデントが続き、そのまま封印状態になっていた。今回が12年5カ月ぶりの王座復活となる。

 天龍は王者決定戦として、百田光雄&北原光騎とタッグを結成し、高山善廣&後藤達俊&X組と対戦する。百田とまだ決定していないXを除く4人が元WAR6人タッグ王者という豪華な対戦カードだ。

仰天新ルール「プロレス界のDH制」を導入

前代未聞の新ルールをカブキ(右から2人目)が認可、そのルールとは…… 【天龍プロジェクト実行委員会】

 会見冒頭で「前回大会は大盛況で、自分で話をするのもちょっと自惚れかと思うんですけど、好評のうちに終わることができました」と挨拶した天龍は、「WARは志半ばで終わってしまったわけですし、青春の思い出ですかね。それを自分の中で消化したいという意気込みが強いです」と同王座についてコメント。パートナーの2人については「僕が今、リングに上がっていられるのは百田光雄さんのお父さんのおかげ。そういう意味では感謝する部分もあります。言葉としては語弊があるかもしれませんけど、“6時半の男”と呼ばれた百田さんをメインイベントに出すのは、俺にしたら“これでどうだ!”という心意気ですよ。北原も蹴りやサブミッションでいいものを持っているから、俺をサポートしてくれるんじゃないかという期待大です」と語った。

 王座復活に伴い、ザ・グレート・カブキがタイトル管理責任者に就任することも併せて発表された。さらに、そのカブキが認可する形で、プロレス界初となる前代未聞の新ルールが導入されることも明かされた。

 そのルールとは、天龍の言葉を借りて表現するならば「プロレス界のDH制」。今回の試合で勝利し、新王者となった暁には、チームの判断により、1名に限って“指名打者”とその日限りの選手交換が認められる。例えば、天龍&百田&北原組が勝った場合、防衛戦では天龍&百田&X組や、百田&北原&X組に変更が許されるのだ(あくまでも王者は最初にベルトを手にした3人で、誰も変更せずに試合をすることも認められる)。

“進化”ではなくて、掘り起こしていく“深化”

DH制とも言うべき新ルールは、天龍の得意とする“深化”の流れをプロレス界に巻き起こすことになるか 【天龍プロジェクト実行委員会】

「常日頃から言ってきた私の“誰かがどこかで見ている”というコンセプトの下、700名いるレスラーの人たちに、チャンピオンとしてリングに上がる昂揚感や責任感を一瞬でもいいから感じてほしいな、と考えました。当然、下手な試合をすれば、ここにいますカブキさんからも批判を受けることでしょうし、そういうことも踏まえて皆さんにチャンスを与えたいな、と」
 このルールの裏側にあるのは、“進化ではなく深化”という天龍の現在のスタンスだという。
「進む“進化”ではなくて、掘り起こしていく“深化”のプロレスも従来の天龍源一郎が得意とするところでして。もうここまで進んじゃったら、プロレスがパニック状態ですから、真っ直ぐじゃなくて、下に伸びる形で。タイガーマスクが四次元殺法というものを作ったじゃないですか。これは新ルールのそういったものですよ(笑)」
 天龍はさらに、DHとなった選手が負けてベルトを獲られた場合、本来の王者だった選手と時間無制限1本勝負でシングル戦を行う「罰ゲーム」案まで披露。このルールが現実になれば、今までにない流れがリング上で生まれることになりそうだ。

 対戦相手は高山のこだわりにより、全員金髪のトリオとなる予定。Xに関しては「今、オファーを出している人が金髪にするだけの覚悟があるかということだけで、発表ができないんです」とのこと。本来金髪ではない大物が髪を染めて出場してくる可能性を示唆した。

初代タイガー直伝の襲撃で望月打倒だ

タイガー・シャーク(左)は初代タイガー直伝の蹴りで望月を粉砕すると予告 【天龍プロジェクト実行委員会】

 また、第1回興行では3WAYマッチを勝ち上がり、望月成晃がインターナショナルジュニアヘビー級(IJ)王座を手にしたが、早くも第2回興行での初防衛戦が決定した。

 前回、リング上でHIROKI、プロモジェル、ブラック・シャドー、タイガー・シャークが挑戦者に名乗りを上げたが、タイトルの後見人である百田光雄が「格闘技色の強い戦いができるので、望月選手の対戦相手として相応しい」と、タイガー・シャークを指名。タイトル防衛戦が正式に決定した。

 会見に出席したタイガー・シャークは「望月選手の試合はこの前じっくり見させてもらった。蹴りが主体の選手ということだが、僕もどっちかと言えば蹴りが主体の選手なんで、初代タイガーマスク直伝の本物の蹴りを見せてやりたいと思います」と蹴撃戦を予告。必勝宣言をぶち上げた。

 それに対して複雑な心境を垣間見せたのが、前回に続き今大会でも第1試合に出場し、かつての後輩である平井伸和(現・ヘイト)と激突する天龍の愛弟子・折原昌夫。タイガー・シャークとは、以前「リアル・ダーク」というユニットを組み、リアルジャパンマットで暴れ回っていたが、いきなりタイガー・シャークが折原を急襲し、今や因縁の相手として抗争を繰り広げている。

複雑心境の折原「シャークが獲ったら精力的に動く」

シャークの王座挑戦に内心穏やかではない折原だが…… 【天龍プロジェクト実行委員会】

 しかし、ここは師匠である天龍が生み出したリング。ましてや会見の席で暴れるわけにもいかない。折原は表面的には落ち着いてコメントを発表した。
「第1試合は緊張する戦いではありますけど、自分的にはやりやすくて楽しみがあるポジションでもあります。僕が知っている昔の平井選手じゃなくて、悪役のヘイト選手としての対戦なんで楽しみですね」

 淡々と意気込みを語っていた折原だったが、シャークを一瞥すると、抑えきれない感情を吐露した。
「でも、今回は第1試合のことよりも、僕の横にいる青い虎が……。こうやって肩を並べるのは久しぶり。リアルジャパンでは揉めに揉めていますけど、シャークがもしIJのベルトを奪取したら、僕は彼にチャレンジしたいと思います。彼がベルトを巻いた時は、精力的に動き出しますんで、その辺は天龍さん、よろしくお願いします」

 恨み辛みがあるものの、取り方によってはエールとも聞こえる発言だったが、シャークの挑戦を発端にして、2人の抗争も新たなステージへと進みそうだ。

(次ページ、天龍への質疑応答へ続く)

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