K−1煽り映像への情熱を語る(3)――佐々木敦規氏 「イン点の打ち方が、煽り映像で重要になってきます」

(C)FEG Inc.

“巨匠”インタビュー、第三弾となるラスト! 【(C)FEG Inc.】

 K−1煽り映像を手がけている佐々木敦規氏は、K−1ファイターたちを取材していく中で、新しい道を発見していった。3回に分けてお送りしたロングインタビューも、今回が最後。わずか数分の映像の中に、選手の魅力を凝縮させる匠の技術は、日々の努力の集大成といえる。

「鳩を飼いたい」に大きくマーカー

ある意味、ショッキング映像となったラシェンコのPV 【(C)FEG Inc.】

――前回のインタビューでは、煽り映像にテーマは一つでいいと話されていましたね

 もちろん、そうです。でも、テーマの絞り方も重要ですよ。スタッフが、この前のMAXに出ていた中島弘貴選手の煽り映像を作るときに、ヴァンダレイ・シウバで推そうとしていたんですよね。

――中島選手は、シウバ選手に憧れて格闘技を始めましたから、間違いではないと思います

 それは、もちろん一つの切り口としてはいいんですよ。だけど現場では、トレーナーが中島選手のパンチが重すぎて、わざと大きなグローブをつけさせていると言っていたらしいんです。なんで、そっちで推さないのって。シウバに憧れる選手と、パンチ力が強すぎてでかいグローブを使う選手、どっちが魅力あるのかってことなんですよね。

――一点勝負は、まさにそこですね

 インタビューもそうです。選手のインタビューを編集するときに、あとで聞き直していいところを切ってつなぐのではなくて、しゃべっている時点でイン点を打てと。面白い練習があった。面白いことを言った。その時点でイン点を打って、構成をすればいいわけです。そうしたら、必ず面白くなりますよね。

――イン点とは、すなわちポイントになる箇所ですね

 それを見抜く力が、必要になってきますけど、待っているだけでもダメです。もしも現場でイン点が打てなかったら、能動的に動いて探す努力をしなければなりません。あとは、一人の選手で、何個も情報を植え付けられても、頭に入ってきません。

――印象に残らなくなりますね

 今年4月のWGPの煽り映像を作るときに、セルゲイ・ラシェンコの現地素材が届いたんですよ。僕は、彼のインタビュー原稿に目を通していたら、“ファイトマネーで鳩を飼いたい”って言葉が出てきて、すぐに大きくマーカーをつけましたね。もう、これ一点で、作れるなって。

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