熱かった天龍ファンたちよ、新宿に集まれ!
いよいよ開催が迫ってきた自主興行に向けて天龍(右)は体調を万全に整えている 【t.SAKUMA】
プロレス業界を長い間、取材してきたが、こういう温かい視点でおこなわれる興行は初めてだ。かつての熱かった天龍ファンたちも、ぜひ集まってきてほしい!
若手の心に天龍イズムを刻み込む!
メーンイベントで天龍と初めてタッグを組むことになった高木(左) 【前島康人】
天龍源一郎(天龍PROJECT)&高木三四郎(DDT)vs.嵐(ドラディション)&ディック東郷
今回の「天龍プロジェクト」のメーンカードは天龍&高木三四郎vs.嵐&ディック東郷となった。
このカードを見て「なるほどな」と思った。
対戦相手となる嵐(当時、リングネームは高木功)は全日本プロレス時代、天龍にいつもボコボコにやられていたものだった。嵐を恐怖のどん底に突き落とし、そこからはい上がらせようとする天龍式の鍛え方がそこにあったのだ。その後、嵐は天龍が旗揚げしたSWSに参戦し、天龍とともに歩んでいくことになるが、それだけに天龍に対する思い入れは強い。
そんな嵐とタッグを組むのがディック東郷。東郷は来月6月をもって国内のプロレス活動を終了し、その後、海外に遠征してボリビアで引退することを発表したばかり。
残り少ない国内試合を一戦一戦悔いなきものにしていきたいと決意しいて、120%気合が入っている。
東郷のプロレスはスピード・パワーだけでなく飛ぶのも組むのも超一流で、新日本などにはことあるごとに助っ人としてリングに上がっているが、本来は大きな団体で中核的役割をやっていっても不思議ではない凄腕レスラーだ。
その東郷を対戦相手に指名したのは、ほかならぬ天龍だという。天龍は早くから東郷を買っていて東郷を実際に体感したかったに違いない。老いても意気軒昂の天龍らしい発想だ。それだけではなく近ごろの天龍は、また一味違った考えを持ちはじめた。
天龍に近い関係者が言う。
「天龍はいろんな若手に目を向けていきたいと思っている。地方で頑張っている選手もいっぱいいる。どのくらい頑張っているかを見てみたいし、いまのプロレスを否定するのではなく、天龍源一郎のようなプロレスもあるんだぜというものを彼らの心の中に残していきたいんです」
おそらく自分がやってきたプロレス。天龍イズムを、頑張っている若手選手に刻み込ませたいというオヤジ心があるのだ。
80年代のプロレスファンは実に熱かった。馬場派、猪木派で対立し、プロレス革命をしようとした天龍や長州の一挙手一投足に興奮したものだった。いまのプロレスラーはそういうプロレスを小さいころに見てレスラーに憧れた。いま天龍からじかに体と心に刻み込んでもらえるなんて、こんなすごい話があるだろうか。
天龍とタッグを初めて組むことになった高木三四郎(DDT)だって、思ってもなかったタッグに緊張しまくりだ。ベテランだけに本番でガチガチになることはないだろうが、そういう心理を探りながら試合を見るのもなかなか面白い。
三四郎、あがるなよ(笑)。
男女混合のプロレスで奥深さを知ろう!
男女ミックスドマッチで女子プロレスの女王・井上京子とコンビを組むことになった澤(奥) 【前島康人】
望月成晃(DRAGON GATE)vs.横須賀享(DRAGON GATE)vs.谷嵜直樹(DRAGON GATE)
セミファイナルはドラゴンゲートの提供試合。望月成晃、横須賀亨、谷嵜直樹の3WAYマッチでIJジュニアヘビー級タイトルがかけられる。このタイトルはかつて望月も王者だっただけになじみ深いし、WAR時代に活躍していた望月を知る者にとっては感慨深いものがある。いずれにせよドラゴンゲートのプロレスを楽しんでもらうには3WAYがわかりやすいということだろう。
<第3試合>
井上京子(NEO)&澤宗紀(バトラーツ)vs.豊田真奈美(フリー)&矢野啓太(バトラーツ)
第三試合は男女ミックスドマッチだ。古いプロレスファンは違和感を覚えるかもしれないが、なんと日本のプロレス界で初めてミックスドマッチをやったのは天龍だったといわれている(WAR時代)。
そういえばそうだったな。そればかりかWAR時代、天龍はLLPWにも乗り込んで神取忍をボコボコにして顔面破壊してしまったこともあった。
だからこそ、ミックスドマッチには非常な思い入れがあって「天龍プロジェクト」には毎回入れ込んでいきたいと思っているのだ。
で、今回は女子プロレスの女王というべき豊田真奈美と井上京子がお互いに男子レスラーをパートナーにして激突することになった。豊田と井上(京)は全日本女子時代からのライバル。お互いにその思い切りの良さとパワーは男子レスラーが舌を巻くほどだ。
この試合のコンセプトは「女子の体の大きな選手に、体の小さめな男子レスラーをくっつけて闘う。ちょっと間違えば一瞬にして勝負が逆転してしまう。プロレスっていうのはそういう面白さがあるんだ」というもの。
本来、豊田と井上(京)のシングルでも面白いが、ミックスドマッチにすることで、さらにプロレスの奥深さを見せつけていくことになる。楽しみだ。