TAJIRIが語る3・26『SMASH.1』完全ガイド!
3.26旗揚げ戦に向けて試合の見どころをTAJIRIが語ってくれた 【(C)スマッシュ】
■「最初のイメージよりも面白くなりそう」
――3・26「SMASH.1」まで、あと一週間となりました。昨年12月のSMASH入団会見から約3か月、ついに旗揚げ戦が行なわれるわけですが、改めて振り返ってみていかがでしたか?
TAJIRI 本当に気がつけば、あっという間ですよね(笑)。まあ、まだ結果が見えてないからどうなるのかわからないんですけど、僕が最初に思い描いていたイメージよりも、より良いものになりそうな気はしてます。いつも僕がメモをしてるノートを見返してみても、初めの頃のページを見ると、今よりも全然面白くないことをメモしてるんですよ(笑)。なんでそれが面白くないかっていうと、要は、日本のプロレスの枠からまったく飛び出していないからなんですよね。もちろん、そこには「ワールドトライアウト」もなければ、トミー・ドリーマーの名前もなく、大原vs.KUSHIDAもなく、とにかくこじんまりしてるんですよ。そのぐらい、まだ旗揚げもしてないのに、日本の枠を大きく飛び越えた広がりを見せるとはまったく想像がつかなかったですね。
――実際に先日、TAJIRI選手がカナダ遠征に行かれたときは、SMASHに対する海外の選手やファンからの反響もかなりあったということですが?
TAJIRI WWEやTNAはちょっとまた別の次元になってるんでそれはちょっと置いておいて、海外にあるその他の団体に目を向けると、世界中どこでも横のつながりというか、ネットワークがとにかくすごいんですよ。その中に、SMASHも迎え入れられているなっていう感触はありましたね。カナダで試合をしたときも、「SMASH」って書かれたボードを掲げているファンが本当にいたんですよ(笑)。そういった世界とのネットワークというのは、これから僕らが見せていくものとして、大きな要素になってくると思います。「ワールドトライアウト」なんかは、その一環のひとつですよね。
――それでは早速、各試合の見どころをうかがっていきたいと思います!
第1試合:TAJIRIvs.Mentallo
「ワールドトライアウト」でMentalloと対戦するTAJIRIは未知の強豪の実力を査定するのが楽しみとも 【t.SAKUMA】
――すでに、世界各国のレスラーから「ワールドトライアウト」に応募が届いているとのことですが?
TAJIRI 今回のMentalloに関しては、カナダのエスキモー居住区から来る選手なんですよ。あと面白い所では、南アフリカやイスラエルからも応募が届いてますね。そんな所にプロレスがあったなんて、僕も初めて知りました(笑)。
――まだ未開拓のマーケットが世界各国には存在するということですね
TAJIRI で、今回思ったのが、3・26「SMASH.1」(新宿FACE)に向けての流れがある中でファンの反応を見ていると、知ってる物の中で安心するプロレスというか、見る側の視野というか空間がどんどん狭まっているような気がするんですよね。結局は、自分の守備範囲でしか生きていないというか、そういう風潮を破壊するためにも、この「ワールドトライアウト」をやりたいんですよ。
――そんな中で、トライアウト第1弾として今回やって来るMentallo選手についてはいかがでしょう?
TAJIRI Mentalloなんかは、本来であれば日本とはビジネスをしたことがないようなテリトリーで闘ってるレスラーなので、本当の意味での“未知の強豪”じゃないかと思います。実際に、カナダのインディーマット界ではかなりの実績も残してるみたいですからね。あとは、このトライアウトでその実力が発揮できるのかという楽しみもあるし、もしかしたら、このトライアウトに向けて彼なりにスタイルをアレンジしてくるかもしれない、そういう部分での楽しみも査定をする僕の中ではありますね。
――トライアウトの結果によっては、今後、SMASHへのレギュラー参戦という道ももちろん開けてくるわけですよね
TAJIRI WWEでのトライアウトもそうなんですけど、まずは試合をしてもらって、もちろん勝ち負けはあるんですけど、その後にみんなで映像を見て、いろいろチェックするんですよ。それで多角的な方面から見て判断すると。だから、その場では結果というのが出ないんですよね。だけど、僕にいきなりピンフォール勝ちをするような選手が出てきたら話は別ですねえ(ニヤリ)。本来であれば日本に来れないようなレスラーがこれから続々とやって来るわけなんですけど、彼らにとっても人生を大きく変えるきっかけになるはずです。プロレスが果たすべき役目というのは、究極的なところで言うと、そういった「プロレスで人の人生を変える」ということだと思うんですよね。
――プロレスで人の人生を変える
TAJIRI 僕もプロレスに影響されて、今こうしてすてきな人生を歩んでいるんで、見る人も、やる人も、この企画を通して何かをつかむきっかけになってくれればと思います。それこそ、SMASHのリングで注目を浴びて、日本にあるもっと大きな団体にサクセスしてくれても僕は全然構わないですよ。むしろ、僕はそうなって欲しいと思ってます。きっと彼らも、日本が視野に入ってる以上、新日本プロレス、全日本プロレスなどのメジャー団体に進みたいと思ってるはずなんですよね。それこそ、逆上陸してWWEに進んでもらってもいいわけですから。そういう成功への過程も、この企画の中で見せることができればと僕は思ってますし、Mentalloにも期待はしています。彼も凄いモチベーションでこの試合に臨んでくると思うので、そこは僕がきっちりとリング上で闘って判断したいと思います。
第2試合 朱里vs.里村明衣子
里村と対戦する朱里(右)。全5試合で唯一の女子対決となる 【田栗かおる】
TAJIRI 朱里に関しては、自分の存在意義を賭けて闘ったという経験がハッスルでは一回もなかったと僕は思うんですよね。つまり、この試合で初めて、朱里というレスラーが試されることになるのかなと。実は、最初に僕が考えていたアイデアでは、朱里の対戦相手に元WWEディーバ王者なんかもリストアップされてたんですよ。でも、彼女の相手としては違うような気がして、誰がいいかなと考えたときに、僕の中で里村選手がすっと浮かんできたんですよね。
――TAJIRI選手がイメージする里村選手の印象は?
TAJIRI 僕はあまり今の女子プロレスのことは詳しくないんですが、里村選手に関しては、いい意味で女子プロの中でも浮いてるなっていう感じはしますね。まるで“最強の仙人”というか、悟りを開いたかのような境地に立ってる、そういう境地の中にいることが許された唯一の存在のように僕には見えるんですよ。
――逆に、朱里選手に期待することは?
TAJIRI その“最強の仙人”である里村選手に触れることで、朱里には“女子プロの王道”と呼ばれる道の入口にまずは立ってもらいたいんですよね。そういう時期にあるのかなと。
――どういった試合展開になるのか、まったく予想もつかない意味では、逆にとても楽しみな対戦ではあるんですが、いかがでしょうか?
TAJIRI 朱里がハッスルでKGのリングネームで闘ってたときは、どちらかと言うと、リング上で試合をやらせてもらっていたという感じだったと思うんですよ。それが、今回の里村戦では、生まれて初めて自分でプロレスというものを開拓していかなければいけない日になるんじゃないかなと。言ってみれば、朱里にとっては本当の意味でのデビュー戦ですよね。だから、僕も、朱里が自分の力でどういったものを創り出していくのか、とても楽しみなんですよ。
第3試合 小路晃vs.レザーフェイス
TAJIRIの敵討ちに名乗りをあげた小路(右)。常識の通じないレザー相手に真っ向勝負を仕掛ける 【t.SAKUMA】
TAJIRI もう小路さんには、レザーの腕をへし折ってもらって、2度とチェーンソーを持てなくして欲しいですよ。そして、小路晃が本気で怒ったらどれほど強いのか、実際に僕も見てみたいですね。
――語るのも嫌だと思われる中であえてお聞きしますが、TAJIRI選手にとって、レザーというのはどういったレスラーでしょうか?
TAJIRI 実は、僕がプロレスラーとしての人生をスタートさせたIWA JAPANの練習生だったとき、リング上で初めて攻撃を喰らわしてきたのがレザーの野郎だったんですよ。
――デビュー前からすでにレザーとは因縁があったわけですね
TAJIRI そうなんですよ(笑)。それで、そのときはレザーが相手選手をボッコボコにして、試合終了のゴングが鳴っても攻撃の手を止めなかったんですね。なので、僕は練習生としてこれを止めないといけない立場にあったので、怖かったんですけど仕方なくリングに上がったんですよ。そうしたら、ちょうどレザーが僕に対して背中を見せていたんで恐る恐る近づいて行ったら、急にレザーが振り返ってですね。
――野性的感というか、何か気配を察知したんですかね?
TAJIRI 本当にそんな感じでしたよ。それで、レザーが僕を見つけた瞬間に、いきなり僕の腹をめがけて思いっきり蹴りを喰らわしてきたんですよ。もうあまりの衝撃でそのまま僕は場外まで吹っ飛ばされてしまったんですけど、それがデビュー前の僕にとって初めてリング上で受けた攻撃だったんですよね。あのときは、本当に怖かったですよ。だから、あのときの憎しみも僕の中にはあるんですよね。
――ただ気になるのが、レザーのSMASHに対する目的、どうしてTAJIRI選手に標的の刃を向けたのかが未だに謎なんですが
TAJIRI そこなんですよ。最初は僕に襲い掛かってきたのに、その後でレザーから送られてきたメッセージの中にあった「俺ヲバカニスル奴ハ、小路ダロウト、ファンダロウト、誰デアロウト、ミンナ刻ミ殺ス」という、この筋の通ってなさ。つじつまが合っていない恐ろしさというんですかね。でも、本当に怖い存在というのは、そういうもんだと僕は思うんですよ。一体、レザーは何が目的なのか、このわけのわからなさというのは確かに怖いですね。
――怖いですし、かなり不気味ですよね
TAJIRI やっぱり現代人にとって何が一番怖いかと言えば、「理由がわからない」ことだと思うんですよ。本当にこのレザーという野郎は、何をしてくるのかまったくわかんないですからね。これも昔の話になるんですが、ある地方大会でレザーがいつものようにチェーンソーを持って入場してきたときに、「どうせ客には手を出さないだろう」と思ってイスにふんぞり返って座ってたお客さんがいたんですね。そうしたら、レザーがその客めがけて突進して行って、いきなりイスを蹴っ飛ばしてですね、吹っ飛んだ客に馬乗りになってボッコボコにしちゃったんですよ。もちろん、後でこれが大問題になっちゃったんですけどね。
――お客さんにとっても、そんなことはまったく想像もつかないですよね
TAJIRI だから、レザーが言ってることは脅しでもなんでもなく、本当に危ないんですよ。そもそも、あんな野郎に常識なんて言葉はないですからね。だからこそ、そんな化け物を成敗するために、“最後の日本男児”と呼ばれる小路晃が立ち上がってくれたと思うんですよ。そういう部分では、僕も小路さんにはとても期待していますよ。レザーを逆にボッコボコにして欲しいですね。