日本選手団、10個のメダルを目指して バンクーバーパラリンピックが開幕
会場の床にはカナダの国旗であるカエデを形取り、子供たちがその中でダンスを繰り広げた 【ディナモスポーツ/望月公雄】
この日のカナダ・バンクーバーは雨が降るあいにくの天候。特に、この期間は季節の変わり目で、天候が定まらないため、期間中の大半が雨と予報されている。しかし、パラリンピックの開幕をバンクーバーの町が待ちわびていたかのように、昼過ぎには雨が止んだ。開会式開始1時間前――。6万600人を収容する屋内競技場「BCプレース」は、ほぼ満員になり、客席を埋めた人々が歓声を上げる。次第にボルテージが上がった客席ではウェーブが起こり、電灯の付くポンポンを振る。開始10秒前にはカウントダウンが行われ、「One Inspires Many」(一人がみんなを動かす)をテーマにした開会式がスタートした。
日本選手団は24番目に登場
冬季パラリンピックがバンクーバーで開幕。24番目に登場した日本選手団は、アイススレッジホッケーの遠藤を旗手とし、選手たちは笑顔で登場した 【ディナモスポーツ/望月公雄】
選手入場では、各国がアルファベット順に登場。移民の多いカナダならではなのだろうか。客席にはカナダ以外の国旗を持った人々の姿も見られ、選手が入ってくるたびに大きな声援が送られた。
下半身が不自由なダンサーのルカ・パトウェルが、杖を使ってブレークダンスを披露。観客はその巧みな技に歓声を上げた 【ディナモスポーツ/望月公雄】
さらに、遠藤のチームメートである伊藤仙孝は、坊主頭の後ろに「金」の文字を刈り込んだヘアースタイルで登場。それが会場のスクリーンに大きく映し出されると、会場が再び沸いた。
選手入場が終わると、松葉杖のままステージ中央で踊るダンサーのパフォーマンス。その後にミカエル・ジャン総督の開会宣言が行われると、いよいよ聖火が再びともる瞬間が訪れた。
「義足のマラソンランナー」の遺志
聖火台に火が点されて、華々しく冬季パラリンピックがスタートした 【ディナモスポーツ/望月公雄】
英雄の名は、テリー・フォックス。もともとバスケットプレーヤーとして大学生活を送っていたが、骨肉腫で右足を切断。その後、がん資金を募るために、義足をつけて北アメリカ大陸などを横断するマラソンを敢行し「義足のマラソンランナー」と多くの人々に勇気を与えた。
しかし、途中でがんが肺へ転移したことが発覚し、翌年22歳の若さで逝去。人々は彼の死後、その遺志を受け継いで毎年、がん研究資金を募る「テリー・フォックス・ラン」というイベントを開催している。そのフォックスの両親が会場に登場すると、場内は今までにない大歓声に包まれた。無事、バンクーバーの地に再び聖火がともり、盛り上がりは最高潮に達する。これから始まる競技への期待が膨らみ、開会式は幕を閉じた。
前回を上回るメダル数「10」が目標
旗手の遠藤隆行らを先頭に日本選手団が笑顔で登場 【ディナモスポーツ/望月公雄】
それでも、日本選手団は前回より1つ多いメダル獲得10個を目標に掲げている。今大会は、アルペンスキーのスーパーコンビ(スーパー大回転と回転を1本ずつ滑りタイムを競う)が正式種目として新たに加わり、さらに車いすカーリングが初出場するなど、出場種目数が増えたこともあって、さらなる高みを目指す。
大会2日目の13日(日本時間14日)には、アルペンスキーの滑降や、バイアスロン追い抜き、アイススレッジホッケーと車いすカーリングの予選が行われる。中でも男子滑降座位の狩野亮(マルハン)に最初のメダル獲得が期待されている。
日本にとって華々しい幕開きとなるか、いよいよ明日からの競技に期待したい。
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